喜多村俊夫

喜多村 俊夫 - 日本の地理学者

喜多村俊夫（きたむら としお、1911年2月6日 - 1993年10月24日）は、日本の地理学の発展に大きく寄与した学者です。滋賀県の堅田町（現在の大津市）に生まれ、彼の学問的な旅は滋賀県師範学校から始まりました。その後、東京高等師範学校文科を経て、1933年に東京文理科大学地理学科を卒業しました。

彼のキャリアの初期は、滋賀県立小学校で教鞭を執ることから始まり、その後は教育機関での勤務が続きました。1936年には日本経済史研究所で研究員として活動し、3年後には京都帝国大学人文科学研究所に助手として勤務、1949年には同大学で助教授として昇進しました。この際、彼は「日本灌漑水利慣行の史的研究」の論文により、農学博士号を取得しました。

喜多村は同年、岡山大学法文学部の教授に就任し、その後名古屋大学文学部の教授を務めました。1974年に定年退官し名誉教授に就任、またその後、大阪経済大学および大阪学院大学で教授として教え、1985年に退職しました。1951年には、日本農学会賞を受賞し、その業績が認められることとなりました。

喜多村は多くの著書を執筆し、特に灌漑や水利に関する研究が評価されました。主な著書には、1946年の『近江経済史論攷』や1950年の『日本灌漑水利慣行の史的研究 総論篇』があります。1955年には『瀬戸内海沿岸地方 わが国土』を発表し、1957年には農業水利問題研究会による『高梁川流域における農業水利調査』を出版しました。その後も、1973年に『日本灌漑水利慣行の史的研究 各論篇』や1981年の『新田村落の史的展開と土地問題』、1990年の『日本農村の基礎構造研究 その展開過程』など、多数の専門書を世に送り出しました。

また、喜多村は共著としても多くの作品をあり、1957年には榑松静江や水津一朗と共著で『村落社会地理』を発表しました。さらに、彼の業績を振り返る記念論集『遊仙喜多村俊夫先生への追憶』が1994年に作成され、多くの人々にその貢献が再認識されました。

喜多村俊夫は生涯を通じて、日本の地理学の研究と教授に尽力し、次世代の学者たちに大きな影響を与え続けました。彼の研究は、日本の農業や地域における水の利用に関する重要な視点を提供し、地理学の分野における基盤を築くのに寄与しました。彼の業績は、今後も多くの研究者にとっての基礎となることでしょう。彼の名前は、日本の地理学の歴史に長く刻まれています。

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