喜屋武朝扶

喜屋武朝扶（きやん ちょうふ）は、1839年に生まれ、没年は不明ですが、琉球王国末期から明治時代にかけて活躍した人物です。彼は政治家として琉球藩の賛議官を務め、同時に唐手（現在の空手）の達人としても名を馳せました。

琉球藩士から明治維新へ

喜屋武朝扶は、琉球藩時代に賛議官という要職にありました。1873年には、明治維新を祝う慶賀使の一員として上京しています。この上京は、琉球藩が新しい時代を迎える中で、重要な役割を担っていたことを示しています。その後、琉球藩が廃止されると、朝扶は尚泰に従って再び上京し、尚家の家扶として、その家政を支えることになります。

唐手家としての側面

喜屋武朝扶は、唐手（空手）の達人としても知られており、その技は松村宗棍から学んだとされています。松村宗棍は、当時の唐手における重要な人物であり、その教えを受けた朝扶の唐手も、高いレベルにあったと考えられます。また、彼は戦前の空手家として有名な喜屋武朝徳の父であり、朝徳の武道家としての才能は、父である朝扶から受け継がれたものと推測されています。

家系と血縁

喜屋武朝扶は、本部御殿家の分家である本永家の出身です。彼の唐名（中国風の名前）は向維新、位階は親方であり、琉球王国時代には「喜屋武親方朝扶」と呼ばれていました。朝扶は、本永家から喜屋武家に養子に入っています。

本永家は、本部御殿五世の本部朝救の五男、朝義が分家した家系です。朝義は喜屋武家から妻を迎え、その長男の朝勅が本永家を継ぎ、四男の朝張は喜屋武家に養子に入りました。朝扶は、朝庸の長男として生まれ、二代続けて喜屋武家の養子となっています。この複雑な血縁関係からも、当時の琉球社会における家系の重要性がうかがえます。また、朝扶の長男である朝輔は喜屋武家を継ぎ、三男の朝徳は本永家に養子に入っています。このように、喜屋武家と本永家は、密接な関係を保ちながら、互いに影響を与え合っていたことが分かります。

喜屋武朝扶は、政治家として、また唐手家として、琉球の歴史に名を刻んだ人物であり、その生き様は、当時の社会や文化を理解する上で重要な手がかりとなります。

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