嗚呼玉杯

嗚呼玉杯（ああぎょくはい）

嗚呼玉杯は、1902年、明治35年に旧制第一高等学校によって作られた著名な寮歌です。本作の正式名称は「第十二回紀念祭東寮寮歌」であり、その歌い出しの歌詞にちなみ「嗚呼玉杯」や「嗚呼玉杯に花うけて」といった通称が用いられています。この歌は日本の三大寮歌の一つとして広く認知されています。

基本情報

作詞は矢野勘治によって行われ、作曲は楠正一が手掛けました。原曲は長調でしたが、広まる過程で短調に変更されました。誤って他の著者名が記載されることもありますが、それは大正時代までさかのぼるものです。歌詞の著作権は、コロムビアソングス株式会社が所有し、JASRACに信託されています。作詞者の矢野が亡くなってから50年後の2011年に、著作権保護が切れ、現在は自由に演奏できます。

制作当初、歌詞は和文調とされていましたが、後に曲を加味して楠の意向により漢文風に改編されたと言われています。

歌の内容と背景

この歌は、自治の理想と救国に燃えるエリートの気概を表現しています。近年の寮歌祭では、原歌詞の「十二年」を「十余年」と歌うことが一般的とのことです。歌詞中にある「向ヶ丘にそそり立つ五寮の健児意気高し」というフレーズは、当時の一高の校地が向ヶ丘に所在したことを反映しています。一高は後に東大農学部との土地交換により駒場に移転し、最終的に学制改革によって廃校となりました。

替え歌と影響

嗚呼玉杯は、旧制第一高等学校にとどまらず、女学生や演歌師などによって広く知られるようになり、そのメロディーを使用した替え歌が数多く存在します。多くは短調のバージョンが利用されているのが特徴です。さらに、旧制学校にルーツを抱える学校の校歌に嗚呼玉杯のメロディーが取り入れられている例も見られます。たとえば、茨城県立下妻第一高等学校の校歌のメロディーは嗚呼玉杯と同一です。

歴史的な関連歌

嗚呼玉杯は、さまざまな文脈においても他の歌と関連があります。例えば、陸軍士官学校の歌『仰げば巍々たる』や、革命歌『嗚呼革命は近づけり』、解放歌『ああ解放の旗高く』など、明治から大正期にかけて多くの歌が影響を受けています。

現在の状況

最近では、この歌が歌われる機会は減少傾向にありますが、東京六大学野球では、東京大学運動会硬式野球部の攻撃時に応援部の指導のもと、アップテンポにアレンジされた1、2、5番が演奏されることがあります。また、佐賀西高校のファイヤーストームでも歌われるなど、依然としてその存在感を誇示しています。

結論

嗚呼玉杯は、旧制第一高等学校の寮歌としてだけでなく、日本の文化に深く根ざした歌であり、現代でもそのメロディーが多くの人々に親しまれています。

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