四五式十五糎加農砲

四五式十五糎加農砲

四五式十五糎加農砲は、明治末から大正初期にかけて大日本帝国陸軍によって設計・開発された重砲であり、正式名称は四五式十五糎加農と称されています。この砲は日露戦争の戦訓を反映し、堅固な野戦築城陣地への攻撃や防御、さらには海岸防衛を目的にした設計がなされています。

概要

本砲は、二〇糎榴弾砲の開発に続くもので、強固な目標の撃破や遠距離からの攻撃を追求した高威力の火砲です。移動には専用の車輌を用いて運搬が可能で、その運搬システムは二十糎榴弾砲の経験から改良されています。開発には四年半が費やされ、青島攻囲戦から太平洋戦争に至るまで幅広く使用されました。

1900年代初頭、陸軍はこの砲の正式制式制定を行い、1912年12月に陸軍参謀総長の異議なく制式化が承認されました。砲の設計は近代的なもので、砲身には復座装置や防盾が搭載され、砲床上に固定されるレイアウトが特徴的です。

構造

四五式十五糎加農砲は後退復座式の設計で、砲身の口径は149.1mm、全長は7.515m、50口径です。砲身は二層構造と三層構造から成り、それぞれ施条が施され、撃発機は内蔵式の螺式閉鎖機を採用しています。発砲後の空薬莢の排出は、エキストラクターが作用し、薬室のテーパー形状により引き抜きやすくなっています。

また、駐退機や復座装置には水圧作動と空気圧を利用しており、発砲後の迅速な復座が可能です。砲架は左右に旋回できる設計がされ、一方で開脚式ではなく固定式です。砲床は地中に埋め込まれ、発砲時の衝撃を受け止めるために鋼製のフレームが配置されています。

照準機能

この砲は高低照準器と方向照準器を搭載し、俯仰角は-8度から+30度の範囲で調整可能です。射撃精度を向上させるための各種装置も完備しており、射撃データは視覚的に確認できるよう設計されています。また、初期の使用砲弾には榴散弾と破甲榴弾があり、全備重量は約31.8kgに達します。

性能

初速は800m/sで、最大射程は15,000mにおよびます。1912年には射撃試験が行われ、破甲榴弾や榴弾の効果が確認されました。特に破甲榴弾の威力は高く、戦利品を用いた射撃では大きなクレーターが形成され、周囲の鉄条網も破壊される結果となりました。命中精度も良好で、射撃実験では目標への直撃が記録されています。

運搬と据付け

運搬には砲を分解し、改良後は12両の運搬車を用いて運送します。砲床が最も重く、約18tに達するため、設置作業には重機が必要となりました。固定式の砲床には要塞への配備がなされ、各地に配置されました。

派生型

四五式十五糎加農砲の派生型として、改造固定式砲や九〇式十五糎加農砲、連装型が存在し、用途に応じた改良が施されています。これらの派生型は特殊な条件下でも効果的に運用できるよう設計されています。

これら全体を通して四五式十五糎加農砲は、その高威力と柔軟な運用が可能な火砲として、その戦歴は広範囲にわたります。

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