四国別格二十霊場

四国別格二十霊場とは

四国別格二十霊場は、弘法大師（空海）が四国に残した足跡の中でも、特に信仰を集めてきた番外霊場の中から、20の寺院が選ばれて1968年（昭和43年）に創設された霊場です。四国八十八箇所霊場と合わせて巡拝することで、人間の持つ百八の煩悩を滅することができるとされ、多くの参拝者が訪れています。

番外霊場について

番外霊場とは、四国八十八箇所霊場の巡拝者が立ち寄ることの多い寺社や修行場、霊跡のことです。これらの場所は、弘法大師との関わりが深く、遍路道沿いやその近くに位置していることが多いのが特徴です。番外霊場の数は定まっておらず、200から300近くあるとされています。

巡拝の特徴

四国別格二十霊場は、四国八十八箇所霊場と合わせて巡拝することが推奨されていますが、必ずしも順番通りに巡る必要はありません。八十八箇所霊場の巡拝後に別格二十霊場を巡ることも、同時に巡ることも可能です。近年では、別格二十霊場を先に巡拝する人や、別格二十霊場のみを巡拝する人も増えています。しかし、歩き遍路道は自然災害や藪化によって歩行が困難な場所もあり、車での巡拝の場合も、冬場は雪で通行が困難になる場所があるため、事前に情報を収集することが大切です。

車での巡拝の場合、おおむね4日で一巡できますが、熟練者であれば3日で巡ることも可能です。

納め札と念珠

別格二十霊場では、納め札の色が巡拝回数によって変わるのではなく、一般は白、先達は黄、権中先達は緑、中先達は赤、権大先達は銀、大先達は金、特任先達は錦と定められています。また、各寺院で寺院名入りの念珠玉を集め、21個揃えると片手念珠を作ることができます。念珠玉は男性用、女性用、紫檀木の3種類があり、いずれの親玉も霊場会会長の寺で販売されています。

結願と御礼参り

別格二十霊場の全二十箇寺を巡拝すると結願となり、その後、御礼参りとして和歌山県の高野山にある総本山金剛峯寺（奥の院とは異なる）か、京都府京都市南区にある東寺（教王護国寺）のどちらか、または両方に参拝し納経を行います。御礼参りは必須ではありませんが、正規の納経帳には御礼参りの項目が設けられているため、参拝するのが一般的です。満願証（賞状タイプ）は、どの札所寺院でも有償で作成してもらえます。

公認先達制度

別格二十霊場には、巡拝者を先導し、霊場の興隆に貢献する先達制度があります。先達になるためには、寺院住職の推薦を受け、審査を経て、階級に応じた礼禄を納める必要があります。先達は毎年秋に行われる先達会に出席し、資格を得ます。

先達の階級と条件は以下の通りです。

新任先達：霊場巡拝3回以上、新補料2万5千円
権中先達：先達補任後2年以上経過、巡拝・研修会参加の累計8回以上、昇補料3万円
中先達：権中先達補任後3年以上経過、巡拝・研修会参加の累計15回以上、昇補料5万円
権大先達：中先達補任後3年以上経過、巡拝・研修会参加の累計25回以上、昇補料9万7千円
大先達：権大先達補任後5年以上経過、満50歳以上、霊場会の総意により承認された者、昇補料10万円
特任大先達：大先達補任後5年以上経過、霊場会の総意により承認された者、昇補料10万円
特任名誉大先達：満65歳以上の特任大先達で、霊場会の総意により承認された者、昇補料10万円

小学生以下の児童には子供先達、中学生以上で満二十歳未満には准先達があります。

研修会参加とは、先達研修会や霊場会が招集する特別な行事に参加することです。研修会に参加するとシールがもらえ、1回の参加で霊場巡拝1回分として昇進条件に算入されます。累計巡拝回数で昇進できるよう改正されたため、若い頃や時間のある時に多く巡拝しておくことが、後々の昇進に有利になります。

新任先達から中先達までは右の袈裟、権大先達から特任大先達は左の折五条袈裟を着用します。先達用の杖は1種類のみです。

霊場会役員

現在の霊場会役員は以下の通りです。

会長：3番 慈眼寺
副会長：16番 萩原寺、13番 仙龍寺
事務局：2番 童学寺
会計：19番 香西寺
広報・Web担当：18番 海岸寺

役員の任期は3年で、令和6年6月1日から令和9年5月31日までです。

四国霊場開創1200年記念行事

2014年（平成26年）は、空海が42歳の厄年の時に四国を巡錫したとされる年から1200年目にあたるため、四国霊場開創1200年として記念行事が開催されました。記念法要や御開帳が行われ、以下の寺院で仏像拝観が実施されました。

1番 大山寺（本尊・脇仏の御開帳）
2番 童学寺（本尊の御開帳）
3番 慈眼寺（大師堂内拝と蔵王権現像の御開帳）
7番 出石寺（前立本尊の御開帳）
8番 永徳寺（大師堂大師像の御開帳）
15番 箸蔵寺（本坊の大師像の御開帳）
17番 神野寺（大師像の御開帳）

その他の記念行事

うるう年巡拝記念：2016年（平成28年）1月1日から2017年12月31日の間、『梵字シール』を納経者に配布し、それを張る台紙（記念バッジ付）を販売しました。
四国別格二十霊場開創50年記念行事：2018年（平成30年）1月1日から2年間、『金色梵字散華』を納経者に配布し、東寺と高野山で出開帳が開催されました。また、2021年（令和3年）元旦からは弘法大師生誕1250年記念として『木製御影』が有料で頒布され、2022年4月1日からは各寺の縁起がイラストで描かれた大師納経が有料で頒布されています。

関連情報

四国八十八箇所
四国三十六不動尊霊場

外部リンク

四国別格二十霊場会

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