四国同盟戦争

四国同盟戦争：18世紀初頭の国際紛争

四国同盟戦争は、1718年から1720年にかけて、スペインと四国同盟（オーストリア、イギリス、フランス、オランダ）およびサヴォイア公国との間で行われた戦争です。この戦争は、スペイン継承戦争後のヨーロッパの勢力図を巡る紛争が背景にありました。

戦争の背景

スペインは、スペイン継承戦争の結果、ユトレヒト条約によってネーデルラント、ミラノ、ナポリ、サルデーニャをオーストリアに、シチリアをサヴォイアに割譲しました。スペイン王フェリペ5世はこれらの領土の回復を目指し、宰相ジュリオ・アルベローニのもとで国力の回復に努めました。アルベローニは、フェリペ5世とエリザベッタ・ファルネーゼの結婚をまとめ、エリザベッタを通じてイタリアへの影響力を強めようとしました。エリザベッタは、自身の子供であるドン・カルロス王子のために、イタリアの君主位を確保したいと考えており、アルベローニの支持を得てフェリペ5世のイタリアへの野心を煽りました。

一方、フランスではルイ14世の死後、幼いルイ15世が即位し、フェリペ5世はフランス王位継承権を主張しました。また、イギリスに対しては、ジャコバイトを支援することで牽制しようとしました。これらの動きに対し、イギリス、フランス、オランダは1717年に三国同盟を結び、スペインを牽制しました。その後、オーストリアも加わり、四国同盟が成立しました。

戦争の経過

スペインは、1717年にサルデーニャを占領し、1718年にはシチリアに侵攻しました。これに対し、イギリスはジョージ・ビング提督率いる艦隊を派遣し、パッサロ岬の海戦でスペイン艦隊を破りました。その後、オーストリア軍がシチリアに上陸し、スペイン軍との間で激しい戦闘が繰り広げられました。

スコットランドでは、アルベローニがジャコバイトを支援し、ジョージ1世の廃位を企てました。しかし、イギリス軍がアイリーン・ドナン城を占領し、ジャコバイトの蜂起は鎮圧されました。また、スペインはイギリスやオランダの艦隊による沿岸攻撃を受け、国内も混乱しました。

新大陸では、フランスがペンサコーラを占領しましたが、スペインが奪還し、再びフランスが占領するという状況が繰り返されました。スペインはバハマのナッソーを攻撃しましたが、占領には失敗しました。

戦争の終結

スペインの劣勢が明らかになると、アルベローニは失脚し、フェリペ5世は1720年にハーグ条約を締結し、四国同盟の講和条件を受け入れました。その結果、スペインは占領地を返還し、パルマ公国の継承権を認められました。また、サヴォイアはシチリアをオーストリアに割譲し、代わりにサルデーニャを得てサルデーニャ王国を成立させました。

戦争の影響

四国同盟戦争は、ヨーロッパの勢力均衡に大きな影響を与えました。スペインは、領土回復の野望を阻止され、国際的な地位を低下させました。一方、イギリスは、海軍力を背景に国際的な影響力を拡大しました。また、オーストリアは、イタリアにおける領土を拡大し、勢力を強化しました。この戦争は、その後のヨーロッパの国際関係に大きな影響を与えることになりました。

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