四極真空管

四極真空管の概要

四極真空管（よんきょくしんくうかん）、通称四極管は、4つの活性電極を持つ真空管であり、これにより高い信号増幅が可能です。これらの電極は、熱電子カソード、制御グリッド、スクリーン・グリッド、プレート（アノード）という順に配置されています。

開発の歴史

四極真空管は、1920年代に三極真空管（三極管）の限界を克服するために開発されました。三極管に新たにグリッドを追加する形で進化し、当初は空間電荷グリッド真空管、バイグリッド真空管、そして最終的にスクリーングリッド真空管の形で登場しました。この技術は、ラジオやオーディオ機器の分野において特に重要な役割を果たしました。特に、スクリーングリッド真空管は、小信号のアンプとして普及し、後にビーム四極管が高出力用途で登場しました。

1960年代から70年代にかけて、トランジスタの登場により四極真空管の使用は減少しましたが、ビーム四極管は長らくオーディオや無線送信機用の電力出力として利用され続けました。

動作原理

四極管の基本的な動作は、三極管と同様です。カソードがヒーターによって加熱されることで、熱電子が放出されます。その後、正の電圧がプレートへかかることで、カソードからプレートに向けて電子が流れます。ここで、制御グリッドに印加される電圧によって電子の流れが変化し、プレート電流の調整が行われます。これにより増幅が実現され、四極管は信号の強化を行います。

四極管では、もう1つのグリッドが独特の役割を担い、その機能は設計によって多様に変わります。具体的には次のような種類があります。

空間電荷グリッド真空管

このタイプでは、カソード周辺に生成される電子の雲が制御グリッドとの相互作用により、低電圧でも大幅なプレート電流の増加を可能にします。特にカーラジオなどの低電力アプリケーションにおいて、その高入力インピーダンスと低グリッド電流特性が重宝されました。スラングでは、FP54のように高感度電流測定器としても使用されました。

バイグリッド真空管

この型式の四極管は、特にRF信号とAF信号の影響を受ける2つの制御グリッドを持ち、それぞれが独立した信号処理を行います。このデザインは、効率的な信号処理を可能にし、多くの無線機器に応用されました。

スクリーングリッド真空管

スクリーングリッドは制御グリッドとプレートの間に配置され、これにより静電的な干渉が減少し、安定した増幅が可能となる特徴があります。この技術の導入により、より高い周波数帯域での信号増幅が実現されました。

現代の応用

四極管は、現在でもオーディオ機器や無線送信機で使用されることがありますが、主流はトランジスタ技術に移行しています。しかし、ビーム四極管などは高出力を要するアプリケーションでの使用が続いており、特にオーディオアンプなどの分野ではその性能を活かした製品が存在します。これにより、四極真空管は電子機器の歴史において重要な役割を果たし続けています。

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