四重極型質量分析計

四重極型質量分析計 (QMS) の概要

四重極型質量分析計は、さまざまな質量を持つイオンを分析するために設計された装置で、特定の質量を持つイオンのみを選別的に通過させることができる現代的な技術です。この装置は、主に化学や生物学の研究、環境分析、医薬品の開発などで広く用いられています。

原理

四重極型質量分析計の基本的な構造は、四本の電極ロッドから構成されており、電圧を印加することで特定の質量のイオンのみを選別する電場を形成します。この電場の中で、イオンはその質量に応じた特定の振る舞いを示し、目的のイオンだけが通過できる仕組みになっています。イオンは通常、10～20Vの低い加速電圧によって加速され、四重極に導かれます。

イオンの運動方程式

四重極型質量分析計におけるイオンの運動は、運動方程式を用いて表現されます。具体的には、正と負の直流電圧を組み合わせた交流電圧が印加されることで、生じる電場の中でイオンは振動します。この振動は、物理的な法則に基づき、イオンの質量や電圧設定に影響されます。特定の条件下では、イオンが安定した運動をするための領域が定まり、そのためのパラメータとして「マシュー方程式」が記述されます。

測定可能な質量範囲

分析可能なイオンの質量は、電極に印加する交流電圧の大きさや、その周波数、電極間の距離によって決まります。設計によって、この範囲は制限を受け、現在の四重極型質量分析計では、最大で約3000程度の質量まで測定が可能です。質量の大きいイオンを分析するには、交流電圧を高くし、電極間距離と周波数は小さくする必要がありますが、実際には装置の構造上、これには限界があります。

質量分解能

質量分析計における質量分解能は、識別可能な質量差によって定義されます。四重極型の質量分析計は、質量に比例した分解能を持ち、通常、質量差は約0.5程度です。このため、質量範囲が3000までの装置では、最大の質量分解能は約6000に達することが可能です。

まとめ

四重極型質量分析計は、その特異な電場とイオンの選別能力により、幅広い用途で活用されています。質量分析の原理を活かしながら、特定のテストや研究において、高い精度と効率を誇る装置であります。

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