四隅突出型墳丘墓

四隅突出型墳丘墓の概要

四隅突出型墳丘墓（よすみとっしゅつがたふんきゅうぼ）は、弥生時代中期後葉から終末期にかけて、主に中国山間部や山陰地方、北陸地方で形成された特異な形状の墓制です。その特徴は、方形の墳丘墓の四隅が飛び出すような形状にあり、その様子はヒトデのようです。

歴史的背景

この型の墳丘墓は、1968年に島根県邑南町の順庵原1号墓で初めて確認され、その後、1974年には富山県の杉谷4号墓が北陸地方の最初の例として報告されました。現在、100基以上の四隅突出型墳丘墓が知られていますが、その最古の例は中国山間部の三次盆地や出雲平野のものであり、形成は弥生時代中期後葉までさかのぼります。後期前葉には鳥取県の伯耆・因幡、さらに後期後葉には島根県の出雲地方での発展が見られ、北陸地方でも後期後半以降に広まっていきました。

起源と特徴

この墓の起源については、かつては朝鮮半島からの影響や方形周溝墓起源説が考えられていましたが、現在では主に貼石方形墓の影響を受けているという説が広く受け入れられています。四隅突出型墳丘墓は、墳丘の側面に貼石を用いており、その規模は後の古墳時代に見られるものに近づきました。これは、古墳時代以前の墓制の中で、最も高度な土木技術を駆使した構造とされています。また、日本海沿岸地域での墓制の共有も示唆されていますが、北近畿地域ではこの型の墳丘墓が見られないなど、地域差も存在します。

地域ごとの特色

中国山間部

中国山間部では、特に備後北部の三次盆地での発掘が進んでおり、陣山墳墓群では初期の四隅突出型墳丘墓が確認されています。ここでは墳墓の構築方法がまだ定型化していないことがわかり、最古の四隅突出型墳丘墓の一例と見なされているのです。後の時期には、隅の突出した前方後方形墳墓が出現し、弥生時代の終わりに重要な変化が生じました。

山陰

山陰地方では、四隅突出型墳丘墓の構造や様相が古い時期から見られます。島根県出雲市の青木遺跡において、出現期の墓の一例が確認され、出雲にも早期からこの型が造られていたことが明らかになりました。特に、伯耆・因幡地域ではまとまった数の四隅突出型墳丘墓が存在し、これらは出雲地域における政治的な発展とも密接に関連していると考えられています。

北陸

一方、北陸地方では四隅突出型墳丘墓が後期に初めて登場しますが、中国山間部のものとは異なり、配石構造が欠如している点が特徴です。これにより、北陸地方での独自の発展を遂げたとされ、「北陸型四隅突出型墳丘墓」と呼ばれることもあります。また、地域間の影響が強く、小羽山30号墓は山陰の影響を色濃く受けているとされ、両地域の文化的な交流が見受けられます。

まとめ

四隅突出型墳丘墓は、日本の古代社会において重要な墓制の一形態です。それは、地域間の文化交流や技術の進歩を示すものとも言えます。また、弥生時代から古墳時代にかけての墓制の変遷を探る上でも、非常に興味深い存在です。今後の研究によって、さらに多くの謎が解明されることが期待されます。

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