回折効率

回折効率（Diffraction efficiency）は、光学素子、特に回折格子の回折性能を評価するための重要な指標です。これは、入射した光のエネルギーが、特定の方向に回折される光のエネルギーにどれだけ変換されるかを表します。回折効率は、回折光の放射束を入射光の放射束で割った値で定義されます。

回折効率の定義

回折効率（η）は、回折光の放射束（P）を入射光の放射束（P₀）で割った値として、以下の式で表されます。

math
η = \frac{P}{P_0}


ここで、Pは特定の方向に回折された光の放射束を表し、P₀は回折格子に入射する光の放射束を表します。

格子効率

回折効率は、特に回折格子において重要となるため、「格子効率」と呼ばれることもあります。格子効率には、主に以下の2種類の定義が存在します。

絶対効率

絶対効率は、上記の式で定義される、ある特定の方向に回折した光の放射束と、入射光の放射束の比です。これは、回折格子に入射した光が、どれだけ特定の回折方向に変換されるかを直接的に示しています。

相対効率

相対効率は、回折光の放射束を、同じコーティングが施された鏡で反射した場合の反射光の放射束と比較したものです。相対効率は、回折格子での反射損失の影響を除外し、回折プロセスそのものによる不可避な損失のみを考慮します。これにより、回折格子自体の回折性能をより正確に評価することができます。

回折効率の重要性

回折効率は、光学システムの設計や評価において、非常に重要な役割を果たします。特に、回折格子を用いた分光器やレーザーシステムなどの光学系では、高い回折効率が求められます。回折効率が高いほど、エネルギー損失が少なく、より効率的に光の制御や利用が可能になります。回折効率を最大化するためには、回折格子の構造や材料、入射光の波長や偏光状態などを適切に設計する必要があります。

まとめ

回折効率は、回折格子の性能を測る上で欠かせない指標です。絶対効率と相対効率の2種類の定義を理解し、光学系の目的に応じて適切な回折格子を選択することが重要です。回折効率を最大限に引き出すことで、光学システムの性能を大幅に向上させることができます。

参考資料

* Christopher Palmer (2005年). “Efficiency Characteristics of Diffraction Gratings”. Diffraction Grating Handbook (sixth edition). Newport Corporation. 1 November 2012閲覧。

もう一度検索