回転銀河

海野つなみ『回転銀河』：星々が紡ぐ、多様な愛の物語

『回転銀河』（Round Universe Round）は、漫画家・海野つなみによって描かれたオムニバス形式の恋愛漫画です。2003年から講談社の『One more Kiss』や『Kiss』といった雑誌で不定期に連載が始まりました。

連載の軌跡

本作の連載は、決して平坦な道のりではありませんでした。当初は姉弟間の恋愛感情を描いた内容が編集部内で賛否両論を呼び、連載が見送られるという苦い経験もしています。その後、雑誌を変え、主人公の年齢設定を変更するなど試行錯誤を重ね、ようやく『Kiss』での連載開始にこぎつけました。

連載開始後も、作者の他の作品の執筆状況などにより、何度か中断期間がありました。しかし、2008年頃に連載が再開され、現在は『Kiss PLUS』でその物語が紡がれています。

物語の舞台と登場人物

物語の主な舞台は、県立相良第二高校。そこで織りなされる様々な恋愛模様が、本作の魅力の一つです。登場人物たちは、それぞれに悩みや葛藤を抱えながらも、恋愛を通して成長していきます。

主要な登場人物

樫本 衿子（かしもと えりこ）: 喘息の療養のため、2年間祖母の家で暮らしていた高校3年生。弟の晴明に兄妹以上の感情を抱き、戸惑います。
樫本 晴明（かしもと はるあき）: 衿子の弟で、高校1年生。姉のことが好きだが、その気持ちを素直に表現できません。水泳部に所属しており、183cmの長身です。
泉（いずみ）: 衿子のクラスメイトで、中学時代に衿子と付き合っていました。衿子のことを心配しつつも、淡い期待を抱いています。
池上 征司（いけがみ せいじ）: 晴明の親友で、バスケ部のエース。クールな性格ですが、ある出来事をきっかけに須磨のことを意識し始めます。
篠田 恭子（しのだ きょうこ）: 高校2年生。入学直後に痴漢に遭ったことがきっかけで、男性嫌いになります。須磨のことが好きで、彼女を応援する一方で複雑な感情を抱えています。
須磨 巴（すま ともえ）: 王子様のようなルックスで、女子生徒から人気があります。池上のことが好きで、バスケに打ち込んでいます。
* 守口 真悟（もりぐち しんご）: 恭子のクラスメイト。巨乳好きでエロトークばかりしていますが、恭子の意外な一面を見て、彼女を意識し始めます。

各話に込められた想い

作者は各エピソードに様々な想いを込めています。例えば、16話「クエーサー」は、作者自身がアンハッピーエンドだと捉えている物語です。また、11話「天動説」と13話「雨」は、表裏一体の関係にあるエピソードとして描かれています。

タイトルに込められた意味

当初、本作のタイトルは「天体観測」でしたが、連載が見送られている間に同名のテレビドラマがヒットしたため、「回転銀河」に変更されました。このタイトルは、天文用語である「銀河回転」に由来しています。

まとめ

『回転銀河』は、様々な愛の形を描いた作品です。登場人物たちの繊細な感情や人間関係を通して、読者は恋愛の喜びや苦しみ、そして成長を追体験することができます。ぜひ、本作を手に取り、星々が紡ぐ愛の物語に触れてみてください。

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