因田宏紀

人物・来歴

因田宏紀（いんでん ひろき）氏は、日本の放送界において、多角的なキャリアを築いた人物です。三重県鈴鹿市に生まれ、中央大学を卒業した1965年に朝日放送（ABC）へ入社しました。同期入社には、後に永くラジオの顔となる道上洋三氏や、アナウンサーの辻豊人氏らが名を連ねています。

ABC入社後、因田氏は主にアナウンサーとして活動を開始しました。中でもスポーツ中継、特にプロ野球実況でその才能を発揮し、精力的にマイクの前で活躍しました。その一方で、1966年に放送が始まったラジオの人気深夜番組『ABCヤングリクエスト』では、道上洋三氏、辻豊人氏とともに日替わりで初代男性パーソナリティを担当し、当時の若者文化を牽引する一人として絶大な支持を得ました。

少年時代を近鉄鈴鹿線沿線の鈴鹿山麓で過ごした経験から、熱烈な近鉄バファローズファンとしても知られています。その情熱は、単なる一ファンに留まりませんでした。1975年には、自身が企画・開始に関わった近鉄バファローズ応援ラジオ番組『近鉄バファローズアワー』をスタートさせ、実況担当としてもチームを熱く応援しました。

また、ゴルフ実況においても顕著な実績を残しています。1971年から1984年にかけては、『ABCカップ・ゴルフ日米対抗』（現在のABCチャンピオンシップゴルフトーナメント）のテレビ中継で実況を担当しました。このトーナメントにはその後も長く深く関わることになります。

1985年、因田氏はアナウンス職を離れ、スポーツ局へ異動となりました。ここからはスポーツ番組のプロデューサーとして、制作現場の責任者として手腕を振るうことになります。アナウンサー時代に実況や中継制作で培った経験を活かし、スポーツ番組の企画・制作に貢献しました。ABC主催のゴルフトーナメントにおいても、1985年から1999年までは中継のプロデューサーや管理責任者として制作側の中心を担いました。

さらに2000年からは、系列会社であるABCゴルフ倶楽部に出向。代表取締役社長兼支配人として、ゴルフ場運営という実業の世界に活躍の場を移しました。ここでもABC主催のゴルフトーナメントに、2000年から2004年までは開催地のトップとして関わり、長年にわたり大会を多角的な視点から支え続けました。アナウンサー、プロデューサー、そして実業家と、そのキャリアは非常に多岐にわたります。

主な担当番組・制作

ラジオ

プロ野球中継（ABCラジオナイターなど）
近鉄バファローズアワー
全国高校野球選手権大会中継
ABCヤングリクエスト

テレビ

プロ野球中継（侍プロ野球、ゴールデンナイターなど）
全国高校野球選手権大会中継
ABCカップ・ゴルフ日米対抗（実況担当）

制作

ABCチャンピオンシップゴルフトーナメント（旧称「ABCカップ・ゴルフ日米対抗」時代の1985年以降、プロデューサー・管理責任者などとして）

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