団地 (映画)

『団地』は、阪本順治監督による2016年の日本映画で、SFとコメディの要素を併せ持つ作品です。主演の藤山直美は、その演技が評価され、第19回上海国際映画祭で金爵賞最優秀女優賞を受賞しました。

物語は、団地で暮らす山下ヒナ子（藤山直美）と夫の清治（岸部一徳）を中心に展開します。息子を亡くした夫婦は、以前営んでいた漢方薬局を閉め、団地へと引っ越してきました。ヒナ子はスーパーでレジ係として働き、清治は団地の裏の林で植物観察をする日々を送っています。

ある日、真城（斎藤工）という男が彼らを訪ねてきます。真城は、山下夫妻の漢方薬が特別な効能を持つと主張し、特別な調合を依頼します。その後、宅配便の男（冨浦智嗣）が定期的に薬を回収に来るようになります。

一方、団地の自治会では、行徳君子（大楠道代）が清治を次期会長に推薦しようとします。当初は乗り気でなかった清治も、次第にその気になっていきますが、選挙の結果、君子の夫である正三（石橋蓮司）が再選されます。清治は、君子が自分の人望のなさを住民に話しているのを聞き、ショックを受けます。そして、ヒナ子に「自分は死んだことにしてほしい」と告げ、床下に閉じこもってしまいます。団地内では、清治がヒナ子に殺されたという噂が広まります。

そんな中、真城が再び山下夫妻を訪れ、同郷の者たち約5000人分の漢方薬を2週間以内に用意してほしいと依頼します。その報酬として、真城は亡くなった息子・直哉に会わせることを約束します。真城は、自分も子供を亡くしており、地球人ではないことを明かします。直哉のへその緒があれば、彼に会えるというのです。この言葉を信じたヒナ子と清治は、薬の準備に没頭します。

2週間後、真城は妻子と共に薬を受け取りに来ます。山下夫妻が出発の準備をする中、君子と正三が清治の安否を確かめに来ます。そこで真相を知った二人は協力を申し出ます。

出発当日、山下夫妻は団地を後にします。住民たちが驚く中、宇宙船が団地上空に現れ、その隙に夫妻は団地の裏の林へ。そこは宇宙船の中であり、地球を遠く離れた場所でした。しかし、直哉のへその緒を忘れたことに気づき、真城は時空を戻すことを決意します。

後日、山下夫妻のテレビの調子が悪くなります。ベランダに出た清治は、空に光る物体を見てヒナ子を呼びます。二人は「何か良いことがありそう」と微笑みます。そして、夕食の準備を始めたところへ、直哉が帰ってくるという感動的な結末を迎えます。

主なキャストは以下の通りです。

山下ヒナ子：藤山直美
山下清治：岸部一徳
行徳君子：大楠道代
行徳正三：石橋蓮司
真城：斎藤工
宅配便の男：冨浦智嗣
東：竹内都子
西：濱田マリ
南：原田麻由
北：滝裕可里
吉住将太：宅間孝行
吉住百合子：田井弘子
吉住喜太郎：小笠原弘晃
主任：三浦誠己
権藤：麿赤兒
山下直哉：中山卓也
真城の妻：堀口ひかる
パーソナリティ：浜村淳（声のみ）

劇中では、「ガッチャマンの歌」や中島みゆきの「時代」などの楽曲が使用されています。

監督の阪本順治は、藤山直美のスケジュールが空いたことをきっかけに、この企画を立ち上げました。数日でプロットを構想し、約1週間で脚本を完成させたそうです。舞台に団地を選んだ理由は、その縦長の構造が面白いと感じたからだと語っています。また、筒井康隆や星新一のような、日常がひっくり返る世界観を提示したいという思いがあったそうです。

撮影は、栃木県足利市の錦町団地で行われました。団地の一室は、栗田美術館内にセットが組まれました。林の場面は、八幡山古墳「憩の森」で撮影されました。

映画は2016年6月4日に一般公開され、批評家からも好意的な評価を得ています。特に、そのB級映画的なデタラメさと痛快さが称賛され、阪本監督の新たな変化を歓迎する声も上がりました。

映画は、以下の賞を受賞しています。

第19回上海国際映画祭 - 金爵賞最優秀女優賞（藤山直美）
第8回TAMA映画賞 - 最優秀作品賞
第31回高崎映画祭 - 最優秀助演男優賞（斎藤工）


外部リンク:

団地 - allcinema
団地 - KINENOTE
団地 - 映画.com
* Danchi - IMDb（英語）

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