図書館の略字

図書館の略字について

図書館の略字として使われる「𡆥（くにがまえに「ト」）」と「圕（くにがまえに「書」）」は、特定の分野で用いられる特殊な文字です。これらの文字は、図書館関係者の間で「図書館」を意味する略字として使われることが一般的ですが、それ以外の意味で使用されることもあります。

概要

「𡆥」は、「現代図書館の父」と呼ばれる秋岡梧郎が考案したとされています。秋岡が図書館職員養成所の講義で使用したことがきっかけで、図書館職員を中心に広まりました。この文字は、特定の集団内でのみ使用されるため、「集団文字」に分類されます。

一方、「圕」は、1926年頃に日本に滞在していた中国の図書館学者、杜定友によって考案されたとされています。台湾では、教育省が主催する「金圕奨」という賞が存在しており、この文字が使われています。早稲田大学の笹原宏之教授（当時）によると、「圕」は東京外国語大学の蔵書印として使用された事例はあるものの、簡便性の観点から「𡆥」の方が優れていると指摘しています。また、漢学者である阿辻哲次は、「圕」は漢字ではなく記号であるという立場を取っています。これは、漢字が一字一音節を原則とするためです。

各集団ごとの用法

図書館関係者

図書館関係者の間では、「𡆥」は「図書館」を意味する文字として使われています。例えば、「ウィキペディア図書館」は「ウィキペディア𡆥」と表記されます。

ある私立学校の例

笹原教授によると、ある私立学校では、「𡆥」を「かくと」と読ませ、「各自図書館へ」という意味で使用している事例があるそうです。この用法がどのようにして生まれたかは不明ですが、学校が独自に考案したか、秋岡の造字に新たな意味を付与した可能性があります。

法学部関係者の例

法学部関係者の間では、「登記」の略称として「□（四角）」にカタカナの「ト」を組み合わせた文字が使われることがあるそうです。これは「𡆥」とは異なる文字ですが、同様に略字として使用されています。

まとめ

「𡆥」と「圕」は、図書館という特定の分野だけでなく、他の分野でも使用されることがある興味深い文字です。これらの文字の存在は、文字が単なる記号ではなく、文化や歴史を反映するものであることを示しています。

関連項目

略字
圕の大魔術師 - 「圕」を書籍名に用いた漫画作品

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