国の自殺率順リスト

世界の自殺率：現状と背景

世界保健機関（WHO）が発表するデータに基づいた、各国における自殺率に関する情報を解説します。このデータは、人口10万人あたりの粗自殺率（Crude suicide rates per 100,000 population）を用いており、国全体の自殺者数を国民総人口で割って算出されています。男女別の自殺率を単純に平均した値ではないことに注意が必要です。

WHOのデータには、粗自殺率に加え、年齢調整済み自殺率も含まれますが、ここでは前者を用いて説明します。自殺率は国によって統計の信頼性やデータの更新頻度に差があるため、単純な比較は困難です。WHO自身も、各国自殺率の順位付けは行っていません。

宗教・文化との関連性

カトリックやイスラム教など、自殺を罪悪視する宗教が広く信仰されている国々（多くのイスラム諸国やラテンアメリカ諸国など）では、統計上、自殺率が低い傾向が見られます。しかし、これは文化的な要因によるものであり、自殺が実際には起きていないとは限りません。

若年層における自殺

WHOの2015年の調査によると、世界で10～19歳の若者の死因の上位3位は、1位交通事故、2位呼吸器疾患、3位自殺でした。交通事故は、交通ルール遵守や治安の状況と関連し、呼吸器疾患は、大気汚染が深刻な途上国で発生しやすい傾向にあります。一方、自殺は、旧社会主義国、韓国、日本、欧州、南アジアなど、特定の地域で死因の上位を占めています。

データの信頼性と入手可能性

アフリカや東南アジアの一部諸国では、自殺に関する信頼できる統計データが不足しています。2019年のWHOの調査では、WHO加盟国・地域の約4割にあたる80カ国程度だけが、質の高い自殺統計を有していると報告されています。このことは、世界全体の自殺率を正確に把握する上で大きな課題となっています。

自殺率に影響を与える要因

自殺率は、単一の要因で説明できるものではありません。経済状況、社会的な孤立、メンタルヘルスの問題、そして文化的・宗教的な背景など、様々な複雑な要因が絡み合っています。貧困や失業といった社会経済的な要因、社会的排除なども、自殺リスクを高める可能性があると指摘されています。

WHOデータへのアクセス方法

WHOの公式ウェブサイトから、各国における粗自殺率のデータにアクセスできます。年齢調整済み自殺率データも同様に公開されています。これらのデータは、世界的な自殺対策の推進に重要な役割を果たしています。しかし、データの解釈にあたっては、上記で述べた統計の信頼性やデータの更新頻度の違いに留意する必要があります。

まとめ

世界の自殺率は国や地域によって大きく異なり、その背景には宗教・文化、社会経済状況、メンタルヘルスなど、多様な要因が複雑に関係しています。正確な状況把握には、質の高い統計データの収集・整備が不可欠です。WHOのデータは、この問題への理解を深める上で貴重な情報源となりますが、データの限界を理解した上で利用することが重要です。今後、より信頼性の高いデータの収集と分析を通じて、自殺予防対策の更なる強化が期待されます。

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