国光 (リンゴ)

国光（こっこう）

国光（英：Ralls Janet）は、アメリカ合衆国原産のリンゴの品種です。日本には明治初期に導入され、長きにわたり日本のリンゴ産業を支えてきました。

歴史

起源

国光は、アメリカ合衆国バージニア州で生まれました。その起源は、トーマス・ジェファーソン大統領がフランス大使から譲り受けたリンゴの枝を、カレブ・ロールズ果樹園に託したことに始まります。このリンゴは「Ralls Genet」と呼ばれ、栽培が広まりました。

日本での栽培史

日本への導入は1868年または1871年とされ、アメリカから75品種のリンゴと共に持ち込まれました。当初は「ロールス・ジャネット」という名前でしたが、地域によって様々な名称で呼ばれました。1900年（明治33年）に「国光」という名称に統一されました。

国光は日本の気候に適しており、特に青森県津軽地方で盛んに栽培されました。長期保存が可能で食味も良かったため、明治時代には青森県の主要品種となりました。最盛期には、青森県のリンゴ生産量の6割を占めるほどでした。

しかし、1960年代以降、バナナの輸入自由化や他の品種の台頭により、価格が暴落しました。これにより、リンゴ農家は「ふじ」などの新品種への転換を余儀なくされ、国光は主要品種の座を降りました。

現存する国光の木

現在、国光の木は少なくなっていますが、青森県庁や青森県産業技術センターりんご研究所などで見ることができます。長野県千曲市には、樹齢120年を超える国光の木があり、市の天然記念物に指定されています。

品種の特徴

国光は晩生種で、収穫時期は10月下旬です。貯蔵性に優れていますが、常温では品質が劣化するため、冷蔵保存が推奨されます。

果実は円形または円錐形で、1個あたり150-200グラムです。果皮は黄緑色の地に暗紅色の縞模様があり、果粉が多いのが特徴です。果肉は緻密で、甘みと酸味のバランスが良く、香気があります。

樹勢は強健で、枝は横に広がります。開花時期は主要なリンゴ品種の中で最も遅く、収穫期も遅いため、寒冷地での栽培には不向きです。

交配種

国光は、多くの品種の交配親としても利用されました。代表的な品種として、以下のものがあります。

ふじ: 国光とデリシャスを交配して生まれた、日本を代表するリンゴ品種です。
恵（めぐみ）: 国光と紅玉を交配した品種で、食味や保存性に優れています。
* 福錦（ふくにしき）: 国光とデリシャスを交配した品種で、甘みと酸味のバランスが良いのが特徴です。

その他にも、甘錦、新光、旭光、豊鈴、福民など、国光を親とする多くの品種が育成されました。

国光は、かつて日本のリンゴ産業を支えた重要な品種であり、その遺伝子は多くの品種に受け継がれています。

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