国務・陸軍・海軍調整委員会

国務・陸軍・海軍調整委員会 (SWNCC) の概要

国務・陸軍・海軍調整委員会（State-War-Navy Coordinating Committee、通称SWNCC）は、1944年の12月に設置され、アメリカ合衆国の連邦政府において政治的および軍事的な問題の調整に関与する委員会です。主に第二次世界大戦の終了後における枢軸国の占領に関する課題に取り組み、データ提供や専門家によるアドバイスを基に施策を策定しました。SWNCCは、国家安全保障会議の前身とも言える組織であり、部門を超えた軍事と民間の協力体制の成功例として評価されています。

SWNCCの設立背景

第二次世界大戦中、アメリカ政府内部での省庁間調整は主に非公式に行われており、ローズヴェルト大統領のリーダーシップを基にしていました。でも、戦局が進む中で、国務長官や陸軍長官、海軍長官は相互に調整する必要性を認識し、共通の問題を扱うための定期会議を実施しましたが、これには明確な権限が欠けていました。しかし、戦争が終結しつつある中で、各部署が占領計画の詳細を検討し始めた際に、この非公式な調整の限界が顕著になりました。

そのため、エドワード・ステティニアスが国務長官に就任する際に、ヘンリー・スティムソン陸軍長官とジェームズ・フォレスタル海軍長官に宛てて書簡を送り、占領計画を策定し、米国の外交政策を統一するための共同運営事務局の設立を提案しました。そして1944年12月19日にSWNCCが設置され、ローズヴェルトの重臣であったジョン・J・マクロイがその運営を担当しました。

SWNCCの活動内容

SWNCCでは、特に日本と欧州の占領計画の策定に焦点を当てていました。旧敵国である日本の占領統治がどのように進められるか、その際に発生するであろう様々な問題の予測と対策が重要な任務となりました。これらの計画は、米国の官僚や学者の専門知識を結集して作成されました。

特に注目すべきは、日本の天皇の地位に関する検討でした。学者出身の官僚ヒュー・ボートンが中心となり、この問題に取り組みました。ボートンは、1943年に書いた覚書の中で昭和天皇の地位を保全することを提言しました。この提言は、その後連合国軍最高司令官のダグラス・マッカーサーによって実行されることになります。

また、SWNCCは、占領予定国に関する既存の業務を見直し、必要に応じて信頼できる専門家を招請して委員会の活動に加えました。実は、真珠湾攻撃の前から日本の占領計画は進められており、SWNCCには豊富な情報資産がありました。こうした専門家の知見を活用しながら、学問的かつ政治的な研究を行い、詳細な占領政策を策定しました。

SWNCCの組織運営と成果

この委員会は、定例的に会議を行う事務局や具体的な問題を細かく調整する作業部会から成り立っていました。運営原則としては、参加者全員の合意を重んじるスタイルが採用されており、解決できない問題については上位の職員に委ねる形をとりました。しかし実態としては、多くの問題は次官補レベルで解決され、その中でホワイト・ハウスに送られたものはごく限られていました。

SWNCCは占領政策に関する重要文書であるSWNCC228の発布にも関与し、これは「大日本帝国憲法改正に関する指針」として知られています。この文書は、連合国軍最高司令官総司令部によって日本国内で発表されました。

1947年、SWNCCは四省調整委員会（SANACC）と改称され、1949年にはその役割を終え、廃止されました。SWNCCの設立と活動は、アメリカの戦後外交政策形成において重要な役割を果たしました。

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