国境警備隊 (ミャンマー)

国境警備隊（BGF）について

国境警備隊（BGF）は、ミャンマー軍の一部であり、国内の反政府武装勢力を改組して設立されました。そして、地域軍事司令部の指導のもとで活動しています。BGFの設立は、2009年にミャンマー政府が国内の反政府勢力との緊張を緩和するために発表したものであり、これに基づいて反政府組織を統合する動きが進められました。

歴史的背景

BGFの創設は、2008年の新しい憲法の制定にさかのぼります。この憲法により、ミャンマー国内のすべての武装組織はミャンマー軍の指導の下に置かれることが義務づけられました。ミャンマーには様々な反政府武装勢力が存在し、その多くが政府と停戦協定を結んでいました。しかし、ミャンマー政府はこれらの勢力をBGFとして編入する方針を取りました。

2009年4月、当時のミャンマー陸軍の高官が反政府勢力の代表と会談し、BGFの設立に関する協議が行われました。その結果、政府と停戦協定を結んでいた反政府組織は、新たにBGFとして再編成されることとなりました。この際、反政府勢力にはBGFに編入されるまでの期限が設けられ、複数回にわたって延長されました。BGFに応じた勢力には、カレンニー民族人民解放戦線（KNPLF）やカチン新民主軍（NDA-K）などがありました。

しかし、否応なくBGFに編入された組織もあれば、そもそも新憲法を受け入れない勢力も多く存在しました。こうした中、BGFを含むミャンマー軍は2009年に一連の軍事行動を展開し、反抗的な勢力に対する圧力を強化しました。

クーデター以降の状況

2021年のミャンマークーデター以降、BGFの状況も大きく変わりました。特にカヤー州の国境警備隊（旧KNPLF）は、軍事政権との関係が悪化しました。KNPLFはクーデター後に反発し、同じ反政府勢力であるカレンニー諸民族防衛隊（KNDF）と連携を深めました。ミャンマー軍による民間人への暴力がエスカレートする中、BGFもその対応を迫られ、徐々に関係が悪化していきました。

また、2021年にはカレン州の国境警備隊の指揮官に辞任圧力がかけられる事件が発生しました。抗議行動として多くの兵士が辞表を提出しましたが、BGF内には動揺の影響も大きく残りました。結果として、BGFはより独立的な立場を求めるようになり、2023年にはカレン州BGFがカレン民族軍（Karen National Army）に改組されることが発表されました。

組織構成と運営

BGFには公式な運営指針は存在しませんが、2008年の憲法にはBGFに言及した一節があります。BGF名義の活動は政府から割り当てられた地域に限られており、全メンバーはミャンマー軍の正規兵と同様の給与を受け取ることとされています。また、BGFの組織は326名で構成され、そのうちの30名はミャンマー軍の兵士が占めることが定められています。重要な役職は原則としてミャンマー軍出身者にのみ付与されるなど、BGFはミャンマー軍の影響を受けつつ運営されています。

このように、国境警備隊は未だにミャンマー内で続く政治紛争や武力衝突の中で複雑な役割を担っています。その活動や組織としての運営が、今後どのような影響を持っていくのか、注視することが重要です。

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