国家級貧困県

国家級貧困県とは：中国における貧困対策の変遷

国家級貧困県とは、中華人民共和国において、経済的な支援を必要とする県として国が指定した地域を指します。これらの県は、国務院貧困者支援弁公室による厳格な審査を経て認定され、集中的な支援を受けてきました。

認定の変遷

国家級貧困県の認定は、1986年、1994年、2001年、2012年の計4回行われました。当初は331県が認定されましたが、1994年には592県に増加。2001年には「国家貧困削減発展重点県」と名称が変更され、東部の県は対象から外れ、中部・西部地域に重点が置かれました。2011年には、地理的条件や貧困の原因が類似する680の県が「集中的連続特別困難県」として特定され、全国には合計832の貧困県が存在しました。

認定基準

2012年に発表された基準では、一人当たりの年間所得が2,300人民元未満の県が国家級貧困県に分類されました。少数民族地区や旧革命根拠地に対しては、基準が緩和される措置も取られました。

分布

国家級貧困県は、主に中国の中部・西部に集中しており、特に旧革命根拠地、少数民族地区、国境地域に多く見られました。2006年のデータでは、雲南省が最も多く、次いで陝西省、貴州省、甘粛省などが続きました。2011年の最終調整後、832の貧困県は22の省に分布し、雲南省、チベット自治区、四川省、貴州省の順に多くなっていました。

貧困脱却と制度の廃止

長年の取り組みの結果、2020年11月23日、中国の全国レベルの貧困県はすべて貧困から脱却しました。これにより、国家レベルの貧困県支援制度は正式に廃止されました。

省レベルの貧困県

国家レベルの貧困県以外にも、省が独自に認定する「省レベルの貧困県」や、国家の貧困削減計画に含まれていない困難地域も存在しました。これらの地域も、それぞれのレベルで支援が行われてきました。

貧困との闘いの終焉と新たな課題

国家級貧困県の廃止は、中国における貧困との闘いにおける大きな成果と言えるでしょう。しかし、貧困が完全に解消されたわけではありません。今後は、地域間の格差是正や、よりきめ細やかな支援策が求められると考えられます。

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