国家記銘院

国家記銘院（Instytut Pamięci Narodowej）

国家記銘院は、1998年の国家記銘院法に基づいて設立されたポーランドの公共機関です。略称はIPNで、国家記憶院や国民記憶院とも呼ばれています。この機関の主な使命は、ナチスや共産主義に関連した犯罪の調査、資料の管理と公開、犯罪者の告発、さらには市民向けの教育活動を行うことです。特に共産主義政権の時代である1944年から1989年までの間に、秘密警察が国民に対して行った抑圧や弾圧行為に重点を置いています。

最初の総裁となったのはレオン・キェレスで、2000年から約5年半の間、ポーランドの下院によって選出され任期を務めました。彼の後を受けたのはヤヌシュ・クルティカで、2005年11月29日からその地位に就いていましたが、2010年4月10日に発生したポーランド空軍のTu-154型機の墜落事故で亡くなりました。その後、フランツィシェク・グリチューク博士が2010年4月11日に総裁に就任し、6月には下院による承認を受けました。

国家記銘院は以下の4つの主要な組織に区分されます：

1. 主要委員会: ポーランド国民に対する犯罪を告発する特別権限を持っています。
2. 事務局: 書類の準備と保管を行う部門です。
3. 教育事務局: 一般向けの教育活動を担当しています。
4. 専門部会: 特定の分野に特化した専門家による部会です。

国家記銘院が行った多くの調査の中でも特に注目されるのはイェドヴァブネ事件やサロモン・モレル事件などです。これらの事件は、ポーランドにおける歴史的な背景や人々の記憶と密接に関連しており、国家記銘院の調査によって具体的な事実や証拠が明らかにされています。

この機関は、国民の記憶と歴史を守るために尽力しており、ポーランド社会における重要な役割を果たしています。市民が過去の出来事を理解し、歴史を学ぶことができる場を提供することから、未来の世代へと繋がる記憶の重要性を説いています。国家記銘院の活動は、過去の過ちを忘れないための努力であり、歴史を通じて今後の平和に寄与することを目指しているのです。

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