国民同盟 (スペイン)

国民同盟（Alianza Popular）とは：スペイン保守政治の変遷

国民同盟（スペイン語: Alianza Popular、略称AP）は、スペインにかつて存在した保守政党です。フランコ体制終焉後の民主化移行期に、フランコ体制期の閣僚たちが中心となって創設されました。当初は複数の政治結社による連合体としてスタートしましたが、後に政党へと転換しました。

1989年には、中道、民主主義、自由主義を掲げる諸政党を吸収し、現在の国民党 (Partido Popular) として再編されました。国民党は、現在もスペインの主要政党の一つとして、その政治的影響力を保持しています。

国民同盟の歴史

創設

1976年10月9日、国民同盟は、以下の7つの政治結社が合流する形で結成されました。これらの政治結社のリーダーは、いずれもフランコ体制において重要な役割を担っていた人物でした。

1. 民主的改革 (Reforma Democrática)：マヌエル・フラガ・イリバルネ (Manuel Fraga Iribarne) 率いる。
2. スペイン人民連合 (Unión del Pueblo Español)：クルス・マルティネス・エステルエーラス (Cruz Martínez Esteruelas) 率いる。
3. スペイン民主行動 (Acción Democrática Española)：フェデリコ・シルバ・ムーニョス (Federico Silva Muñoz) 率いる。
4. 社会民主 (Democracia Social)：リシニオ・デ・ラ・フエンテ (Licinio de la Fuente y de la Fuente) 率いる。
5. 地域行動 (Acción Regional)：ラウレアーノ・ロペス・ロドー (Laureano López Rodó) 率いる。
6. 国民社会連合 (Unión Social Popular)：エンリケ・トマス・デ・カランサ代表。
7. スペイン国民連合 (Unión Nacional Española)：ゴンサーロ・フェルナンデス・デ・ラ・モラ (Gonzalo Fernández de la Mora) 率いる。

これらの7人のリーダーは、マスコミなどから「偉大なる7人 (los siete magníficos)」と呼ばれました。1976年の政治改革法成立に際しては、国民同盟は賛成に回り、同法成立の原動力となりました。

1977年3月には、諸政党の連合体として創設党大会を開催。ホセ・マリーア・ルイス・ガジャルドンが党大会議長、ホセ・マリーア・ベーロ・デ・アンテーロが副議長に就任しました。党代表にはフェデリーコ・シルバ・ムーニョス、幹事長にはマヌエル・フラガ・イリバルネが選出されました。

初の総選挙とその後

1977年に行われたフランコ体制終焉後の初の総選挙で、国民同盟は1,526,671票（8.34%）を獲得し、下院に16議席、上院に2議席を得ました。

1978年1月には、国民同盟統一党 (Partido Unido de Alianza Popular, PUAP) として再結成。フェリックス・パストールが党首に選出され、マヌエル・フラガは幹事長に再任されました。

選挙連合「民主連合」

1979年の総選挙では、国民同盟は「民主連合」(Coalición Democrática、略称CD)という選挙連合を結成して選挙に臨みましたが、結果は1,094,438票（6.10%）、下院議席10と振るわず、1977年の選挙での国民同盟の獲得票を下回りました。

1982年の総選挙では、国民同盟は国民民主党などの政党と選挙連合「国民連合」を結成し、5,548,107票（26.36%）を獲得して107議席を獲得、野党第一党へと躍進しました。

国民党への再編

1989年、党首であったアントーニオ・エルナンデス・マンチャが辞任し、マヌエル・フラガが再び党首に返り咲きました。同年、国民同盟は、より一体的な政党へ生まれ変わるために国民党 (Partido Popular) として再結党されました。フラガは初代党首に、フランシスコ・アルバレス＝カスコスが幹事長に選出されました。

この再編の過程で、キリスト教民主党と自由党が国民党に合流しました。国民党は、その後もスペインの主要政党として、その政治的影響力を維持し続けています。

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