国立人類学歴史研究所

国立人類学歴史研究所 (INAH)

国立人類学歴史研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia、略称INAH）は、メキシコの文化的遺産を維持・発展させることを使命とした連邦政府の機関です。本部はメキシコシティのクアウテモク区フアレス地区に位置しており、歴史的、考古学的、人類学的、古生物学的な価値を持つ遺産を広く調査し、保存し、普及させる役割を果たしています。

この機関は、1939年2月3日にラサロ・カルデナス大統領の下で設立され、初代の所長にはアルフォンソ・カソが就任しました。設立以来、INAHはメキシコ国内で7つの連携機関と31の地方センターを運営しており、これにより地域に根ざした文化遺産の調査と保存に努めています。

主な活動

INAHの業務は多岐にわたります。2020年のデータによると、メキシコに存在する5万3千もの考古学遺跡エリアと、16世紀から19世紀までの11万以上の歴史的モニュメントが登録されています。また、162館にわたる博物館のネットワークも管理しており、これを通じて人々にメキシコの豊かで多様な文化を紹介しています。

さらに、INAHは人類学や博物館学に関連する教育施設も運営しており、専門的な教育プログラムを通じて次世代の研究者や教育者の育成を行っています。また、附属の国立人類学歴史図書館では、メキシコにおける最大級の歴史・人類学に関する出版物コレクションを保有しており、国際的にもその価値が認められています。この図書館では、様々な出版物の他にも録音や録画のアクセシビリティを提供しています。

最近の課題

2020年4月には、メキシコ政府が国立人類学歴史研究所の予算の75%に当たる約7億ペソを削減しようとしたことが大きな話題となりました。この予算削減は、アステカやマヤといった貴重な文化遺産の保存に深刻な影響を及ぼす恐れがありました。これに対し、6000人以上の学者がロペス・オブラドール大統領に対して予算削減撤回の嘆願書を提出するなど、広範な反対運動が起きました。

まとめ

国立人類学歴史研究所は、メキシコの歴史的遺産を保護し、研究を進めるための重要な機関であり、多くの文化的資源を両立しながら世代を超えて未来に引き継いでいく使命を担っています。INAHの活動は、国内外の研究者や観光客にとっても、メキシコの多様な文化を理解する貴重な機会を提供しています。公式ウェブサイトやINAH TVなどを通じて、さらなる情報を得ることができます。

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