国立工芸館

国立工芸館の概要

国立工芸館（こくりつこうげいかん）は、石川県金沢市に位置する国立美術館で、2020年10月25日に開館しました。この美術館は日本海側で初の国立美術館であり、国立美術館の一部として独立行政法人が運営しています。開館当初、正式名称は「東京国立近代美術館工芸館」とされていましたが、2021年4月1日からは「国立工芸館」と称されています。

美術館の設立の背景

国立工芸館の設立は、日本政府の地方創生政策の一環として行われました。この政策に基づき、政府関係機関の地方移転が推進され、東京から移転した数多くの優れた美術工芸作品のコレクションが金沢に集められました。旧東京国立近代美術館工芸館からはおよそ1,900点の作品が移されています。

施設の特徴

国立工芸館は、兼六園の南側にある本多の森公園内に位置しています。この施設は、登録有形文化財である旧陸軍第九師団司令部庁舎と旧陸軍金沢偕行社の二つの建物を移築して再利用している点が特徴です。さらに、展示室部分は新たにRC造によって建設されており、近代的な展示環境を提供しています。整備に伴う費用は約33億7,000万円で、石川県と金沢市がその一部を負担しました。

収蔵品と文化財

国立工芸館では、明治以降の工芸作品およびデザイン作品が約3,900点収蔵されていますが、その中の約1,900点が移転に伴い金沢に持ち込まれました。これらの作品の中には、重要文化財に指定されている鈴木長吉の「十二の鷹」などが含まれ、貴重な文化財としての価値があります。

名誉館長とオープンな発信

国立工芸館は、顕著な芸術活動と地域との連携を進める施設として、名誉館長に元サッカー日本代表選手の中田英寿が就任しています。彼の存在は、美術館が地域と文化を結びつける重要な役割を持つことを象徴しています。館は地域の文化財の保存と普及に力を入れており、多くの来館者に対して工芸の魅力を広めています。

まとめ

国立工芸館は、金沢市における文化的な中心地として、工芸の歴史と美を伝える場です。地域の創生と共に進むこの美術館は、文化に対する理解を深めるための重要な役割を果たしています。来館者は新たな文化体験を通じて、日本の工芸文化の深さを感じることができるでしょう。

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