国立点火施設

国立点火施設（National Ignition Facility, NIF）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州リバモアにあるローレンス・リバモア国立研究所に設置された、世界最大級のレーザー核融合実験施設です。この施設は、核融合エネルギーの研究開発において重要な役割を果たしています。

建設の経緯

NIFの建設は1997年に始まりましたが、技術的な問題や管理上の不手際が重なり、完成までに当初の予定を大幅に超える時間と費用を費やすことになりました。最終的に、当初予算の4倍以上、5年の遅延を経て、2009年3月31日に完成しました。この巨大な施設は、フットボール場3つ分の広さに相当します。

歴史

2009年: 巨大な施設が完成し、本格的な実験が開始されました。
2001年: 日本のガラスメーカーHOYAが、NIFにレーザー光増幅用の特殊ガラスを納入したことが判明し、この行為が「核兵器開発への協力」と批判されました。この批判は、原爆被爆者団体や広島市長、長崎市長、原水禁などから寄せられました。
2014年2月12日: 科学雑誌『ネイチャー』にて、核融合反応において投入エネルギーを上回るエネルギーを生成することに成功したと発表されました。ただし、この時の「投入エネルギー」は水素に吸収されたエネルギー量であり、レーザー照射に費やされた総エネルギー量ではありませんでした。
2022年12月14日: 2.05メガジュールのレーザーを照射した結果、核融合反応によって3.15メガジュールのエネルギーが放出されたことが確認され、世界で初めて「核融合において投入量以上のエネルギーを得ることに成功」したと発表されました。しかし、この実験で2メガジュールのレーザーエネルギーを照射するためには、送電網から300メガジュールのエネルギーが投入されているため、システム全体としての正味のエネルギー利得は達成されていません。

NIFは、核融合エネルギーの実現に向けた研究において、重要なマイルストーンを達成しています。今後、さらなる技術開発により、エネルギー効率の向上が期待されています。

外部リンク

* National Ignition Facility & Photon Science（NIF）（英語版）

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