国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館：祈りと平和への誓い

1945年8月9日、未曽有の悲劇に見舞われた長崎市。その日、原子爆弾によって奪われた尊い命、そして爆心地から遠く離れた場所でも放射線の影響により苦しみ、亡くなられた多くの方々。国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館は、こうした犠牲者の方々を悼み、世界平和への祈りを捧げるために建立された施設です。

建物の概要と目的

長崎市平野町に位置する同館は、2003年7月に開館しました。広島市に続く、国が設置した2番目の追悼施設であり、長崎市では初めての国立追悼施設となります。長崎平和推進協会が運営・管理を行い、入館は無料です。

同館の主な目的は、原子爆弾犠牲者の方々の名簿と遺影を永久に保存すること、そして被爆体験の手記や映像資料などの収集・公開を通じ、未来へ語り継いでいくことです。さらに、被爆医療や平和に関する国際協力の情報提供も行っています。

「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」に基づき設立された同館は、追悼空間、学習コーナー、平和・交流コーナーの3つの主要エリアで構成されています。追悼空間では、犠牲者の方々の名簿が厳かに保存されており、学習コーナーでは、被爆体験を伝える貴重な資料を閲覧できます。平和・交流コーナーでは、来館者が平和へのメッセージを書き記し、共有することができます。

2009年8月9日時点での死没者名簿数は14万9266人、登録された遺影は5204人、登録された原爆死没者数は6514人でした。（差は名前のみ登録されている人数です。）

建物の特徴

長崎原爆資料館と長崎市平和会館に隣接しており、地下2階建ての建物は、静寂、光、水を効果的に用いた設計となっています。地下を活用することで、静かで落ち着いた追悼の空間を確保し、地上部では爆心地周辺の景観を遮らないように配慮されています。

地上部は、黒御影石張りの直径29メートルの水盤と強化ガラスの構造物が特徴です。水盤の底には、1945年末までの推計死没者数と同じ約7万個の光ファイバーが埋め込まれており、夕暮れ時には幻想的な光景を創り出します。地下2階にある追悼空間は、高さ9メートルのガラス柱と地上からの光が荘厳な雰囲気を演出しています。

設計は栗生明氏によるもので、総工費は約44億円。2006年には村野藤吾賞を受賞するなど、高い建築デザイン性も評価されています。

平和へのメッセージ

館内には、来館者が平和へのメッセージを書き記せるコーナーが設けられています。ペン状のスティックを用いてディスプレイにメッセージを書き込むと、その人の写真とともに、10年間保存されます。平和への願いだけでなく、恋人同士が10年後の自分へのメッセージを残すなど、多様なメッセージが寄せられています。

アクセス

長崎駅から長崎電気軌道や長崎バスを利用してアクセスできます。原爆資料館電停や医学部前停留所から徒歩数分です。

まとめ

国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館は、単なる追悼施設にとどまらず、平和学習の場、そして未来への希望を繋ぐ重要な拠点となっています。静寂に包まれた空間で、過去を深く見つめ、平和への祈りを捧げることで、私たちは未来への責任を改めて認識し、平和な世界の実現に向けて歩みを進めることができます。

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