国鉄オハ30形客車

オハ30形客車

オハ30形客車は、かつて日本国有鉄道（国鉄）に在籍した17m級の半鋼製三等客車です。ここでは、同様に製作された三等緩急車オハフ31形についても解説します。

概要

1937年に発生した列車火災で焼失した木造客車（ナハ22000形、ナハフ25000形）を、1940年に小倉工場で復旧する際、試験的に鋼製車体化されました。少数形式のため、形式番号は既存の形式の間に押し込まれる形で、オハ31980形、オハフ34180形とされました。

車体

種車の台枠を再利用したため、車体長は17m級のまま鋼製化されました。台枠は、オハ31980形がUF12、オハフ34180形がUF15を流用しています。UF12は古いタイプのため大改造されましたが、UF15は強固な構造のためほぼそのまま流用されました。

側面の窓配置は種車のレイアウトを踏襲し、窓周りの寸法はスハ32系に準じています。デッキ部の寸法は種車に準じており、側扉も大形2AB車の標準寸法です。構体設計はオハ35系のものが流用され、全溶接構造、丸屋根、ノーシル・ノーヘッダー構造となっています。

車内の座席は種車のものを流用しましたが、内部構造はオハ35系に準じています。結果として、大形2AB車の窓配置と車内設備、スハ32系の窓寸法、オハ35系の基本構造が混在する特異な設計となりました。自重は種車より2 - 4t程度増加しています。

主要機器

台車

種車のTR11台車を流用しました。初期のタイプで心皿荷重上限に不安があったため、交換も検討されましたが、結局実施されませんでした。
ブレーキ

当時標準のAVブレーキ装置を搭載。これも種車からの流用品です。
給水装置

便所の給水装置は、床下水タンクからの揚水式が採用されました。これはオハ31系で採用された改造方法を踏襲したものです。

形式

オハ31980形（オハ30形）

ナハ22000形を復旧したもので、オハ31980・31981と付番されました。座席定員は80名。鳥栖区に配置され、鹿児島本線を中心に運用されました。1941年の称号改正でオハ30形に改称。戦後は北九州地区各線で運用されましたが、後にオル31形に改造されました。
オハフ34180形（オハフ31形）

ナハフ25000形を復旧したもので、オハフ31980と付番されました。座席定員は72名。鳥栖区に配置され、鹿児島本線を中心に運用されました。1941年の称号改正でオハフ31形に改称されましたが、1945年の空襲で被災し廃車となりました。

改造車

オル31形

オハ30形を改造した配給車です。側面中央部に資材搬出入用の側扉が設けられ、車内には配給物資を載せるための棚が設けられました。貨物列車に併結されることがあったため、車体側面には貨車と同様の票差しが取り付けられていました。添乗員室も設けられ、寝台や執務用机、調理用の流しなどが設置されていました。東京鉄道管理局および静岡鉄道管理局に配置され、17m客車の中では長期間運用されました。

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