国鉄キハ391系気動車

国鉄キハ391系気動車

国鉄キハ391系気動車は、1972年に日本国有鉄道（国鉄）によって試作されたガスタービンエンジンを搭載した特急型気動車です。この車両は、特に非電化区間の高速化を目指しており、実際の運用においては試験的な扱いに限られてしまいました。汗、キハ391系の設計と試験は、汽車の高速運転に対して新たなアプローチをもたらすものでしたが、多くの課題にも直面しました。

開発背景

1970年代初頭、鉄道交通の高速化が求められる中で、非電化区間の特急列車の運行速度を向上させるための手段が模索されていました。伝統的なディーゼルエンジンの問題として、大出力化に伴い車両の重量が増してしまう点があります。これに対抗する形で、軽量なガスタービンエンジンの採用が進められ、海外の例を参考に開発が始まりました。

日本でも、1950年代からガスタービン気動車の開発が試みられ、1960年代には運輸省のバックアップにより、事業が加速しました。1968年には、旧型ディーゼル気動車にガスタービンエンジンを搭載した試作車が登場し、テストが行われたことが後のキハ391系の基盤となっています。

仕様と構造

キハ391系は、全長41,100mmの3車体から成る車両で、中心には動力を持たない中間車（M2車）が配置され、前後には運転室と客室を合わせ持つ編成（T1・T3車）が続きます。この配置は、高速走行時の安定性を確保するための工夫でした。軽量化と低重心化を目的に、車体外板には耐食アルミニウム合金が使用されています。さらに、車体傾斜機構が搭載されており、曲線通過時の乗り心地向上が図られています。

動力と駆動方式

キハ391系の動力には、石川島播磨重工業が国産化したガスタービンエンジン（IM100-2R型）が用いられ、その出力は1,050馬力に達します。このエンジンは重量が軽く、従来のデイゼルエンジンよりも高出力であったため、車両の性能向上に寄与しました。駆動方式は機械式で、ギヤカップリングを通じて直接動力を伝達します。

試験運用

キハ391系は、1972年に試作されて以来、様々な試験が実施されました。動力試験、速力試験、勾配試験などを通じて、その性能を検証しましたが、高温の排気ガスによるトラブルやクラッチ破損など、いくつかの問題が発生しました。試験の結果、設計の見直しや改良が行われることとなり、最終的には1973年には改造も含めた大規模なテストが行われました。

プロジェクトの終了

しかし、1973年には第四次中東戦争が勃発し、それが引き金となって石油危機が発生しました。この影響により、燃料費が高騰し、ガスタービンエンジンの開発は停滞しました。これによりキハ391系は量産に至らず、試作車としてのみの運用で終わりました。最終的に、この車両は1986年に除籍され、その後の一部が解体されました。

結論

国鉄キハ391系気動車は、高速運転を目指す新たな試みとして注目されましたが、実用化には至らなかった悲劇的な車両です。その技術的な挑戦は、後の鉄道車両と運行システムに影響を与えることとなりました。

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