国鉄ツ1形貨車

国鉄ツ1形貨車の歴史と特徴

国鉄ツ1形貨車は、かつて日本国有鉄道（国鉄）やその前身である鉄道省に所属していた10トン積みの通風貨車である。この貨車は、1916年にワ19110形から50両が改造されて誕生した。元々の形式名はツワ22500形であり、1928年の車両称号規程改正により、ツワ22500形の48両がツ1形、すなわちツ1からツ48に改名された。

車両の特性

ツ1形貨車の第1の特徴は、その通風性能である。側面および妻面にはそれぞれ上下2か所に通風孔が設けられ、屋根には水雷形の通風器が4つ装備されている。これにより、車内の貨物が湿気や温度の影響を受けにくくする工夫がされている。

車両の塗装は、シンプルに黒一色である。このデザインは、当時の多くの貨物車両に共通していたため、一目で貨物車であることがわかる。寸法については、全長が6370 mm、全幅は2515 mm、全高は3467 mm、実容積は22.0 m³、そして自重は6.3 tから6.9 tの範囲であった。これらの数値は、乗せられる貨物の量を示す尺度として重要である。

戦後の運命

戦後、国鉄ツ1形貨車は1950年に「第二次貨車特別廃車」の対象となり、同年5月20日付けで「車工第376号」として正式に告示された。これは当時の鉄道業界における貨車の効率化や老朽化対策の一環であった。告示時点での在籍車両はわずか3両であり、同年中には最後まで在籍していた車両が廃車され、結果としてこの形式は消滅した。

参考文献による理解の深化

国鉄ツ1形貨車に関する詳細な情報は、いくつかの文献からも得られる。その中には「貨車略図 明治四十四年 鉄道院」（1990年、復刻版）や、「日本の貨車―技術発達史―」（2008年、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊）などがある。これらの資料に目を通すことで、この貨車の設計思想や歴史的背景、さらには当時の鉄道業界の変遷についても深く理解することができるだろう。

このように、国鉄ツ1形貨車はその特異な構造と歴史の中で、日本の鉄道史に貴重な足跡を残している。

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