国鉄ワキ5000形貨車

国鉄ワキ5000形貨車

国鉄ワキ5000形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）によって1965年から1969年にかけて製造された、30トン積みの有蓋貨車です。全体で1,515両が生産され、混載貨物を中心にした特急貨物列車で使用されました。従来の貨物輸送システムにおいて、ワキ1形やワキ1000形の後継として設計され、1965年の国鉄ダイヤ改正からサービスを開始しました。

1. 構造と仕様

ワキ5000形は、近代的なプレス加工鋼板を用いた強度の高い車体構造が特徴です。車体重量は約22トンで、強度を保ちつつ軽量化されました。外部の側面は4分割の引戸で構成され、「総開き構造」を採用しており、荷物の積載・取り卸しがスムーズに行えます。パレット荷役にも対応した2軸ボギー有蓋車で、積載荷重は30トン、パレット対応時は25トンです。

室内は6本の脱着可能なパイプで4つに仕切ることができ、パレットを使用しない一般貨物の積載にも対応します。床板は4.5mm厚の鋼板で構成されており、34.0 - 35.9平方メートルの面積を持ち、1,100mm角のT11形平パレットを24枚まで積載することが可能です。屋根は丸屋根が採用され、室内側には垂木とハードボード製の天井が施されています。

2. 台車とブレーキ装置

ワキ5000形の台車は85km/hで運行可能なTR63B形が使用され、片側1対のオイルダンパーと2重コイルばねを装備しています。設計はチキ5000形量産車に基づき、主要な構造は共通です。ブレーキ装置にはA動作弁が装備され、積載時と空車時でブレーキ力を切り替えることができる「積空切替」機能が備わっています。

3. 製作時期と改造

ワキ5000形は、製作時期によって仕様が若干異なります。1965年から1966年にかけて製作された前期型は、初期の台車やブレーキ装置を装備していました。後期型は1966年から1968年に製作され、屋根の材質が変更され、設計の軽量化がなされました。また、オートバイの輸送に特化した改造車両も複数存在し、特に名古屋鉄道管理局による改造では、オートバイを2段で積載可能な設計がなされています。

4. 運用と廃止

国鉄分割民営化後、JR貨物に大量に承継され、その後も混載貨物や紙輸送を中心に活躍しました。しかし、1990年代にはコンテナ化が進み、最終的にはワキ5000形の使用が終了しました。2022年頃には、残存する車両も廃車され、国鉄の名残を私たちに語りかける存在ではなくなってしまいました。

5. 同形車

秩父鉄道ワキ800形は、ワキ5000形を基にした同型車で、1968年に55両が製造されました。袋詰めセメントの輸送に用いられ、国鉄直通の認可を受けて使用されていました。さらに、南アフリカ国鉄向けにも同型の車両が輸出されています。このように、ワキ5000形は日本国内外で重要な役割を果たしていたと言えます。

国鉄ワキ5000形貨車は、日本の貨物輸送の歴史において重要な位置を占め、近代的な技術とデザインの進化を象徴する存在でありました。

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