国鉄ワム20000形貨車

国鉄ワム20000形貨車の詳細

国鉄ワム20000形貨車は、日本国有鉄道に所属していた有蓋貨車であり、1928年に設計・製造されました。この貨車は、15トンの積載能力を持つ汎用二軸有蓋車であり、全国各地で利用されました。1930年代初頭の日本の貨物輸送ニーズに応じて開発され、当初500両が製造され、その後さまざまな製造所で製造が行われました。

製造と仕様

ワム20000形は、以下のように製造元によって両数が異なります。最初の87両は汽車製造支店で製作され、続いて日本車輌製造本社で196両、また日本車輌製造支店で57両、川崎車輛では110両、新潟鐵工所では30両、最後に九州車輌製作合同事務所において20両がそれぞれ生産されました。このように、多様な製造元からの供給によって、ワム20000形の数は多岐にわたりました。

この貨車の車体は鋼製で、前級のスム1形有蓋車と同様の設計を踏襲していますが、荷室内の温度管理を考慮して一部の設計が変更されています。その一例として、内装には木製の内張りが施され、温度の上昇や結露を防ぐ工夫がされています。このため、外観的にはスム1形に近いものの、側柱部分に内張りを固定するためのボルトが見られるなどの差異が存在します。

機能と特徴

ワム20000形は、側面に幅1,370mmの荷役扉を備え、鋼製の片引き戸が設計されています。上部には通風器が搭載されており、製品の品質を保持するための配慮がなされています。台枠は鋼製であり、走行装置は一段リンク式で、最大速度は65km/hとなっていました。さらに、全長7,830mm、全幅2,743mm、全高3,633mmと、荷室の内寸は長さ6,966mm、幅2,305mm、高さ2,325mmで、容積は37.3m³を誇ります。

廃車と改良

この貨車は、汎用性の高い設計が評価され、長年にわたり活躍しましたが、1964年には老朽化が進み始め、廃車が段階的に行われました。1968年のダイヤ改正に伴う速度向上を目指していたものの、ワム20000形はその対象にはならなかったため、残っていた260両に対しては延命工事とともに二段リンク式に改造されることとなりました。その後、1979年までには全ての車両が廃車されたのです。

形式間改造

本形式の改造事例としては、1945年に無蓋貨車であるトム28000形への改造1例がありました。しかし、この改造車は1948年には存在しなかったとの記録があります。ワム20000形の基本設計は他形式に影響を与えることは少なく、基本的にはそのままの形で使用されてきました。

参考文献

主な情報源として、1992年に発行された「国鉄貨車形式図集 I」や、2008年に発行された「日本の貨車―技術発達史―」が挙げられます。これらの資料をもとに、国鉄ワム20000形貨車の歴史と技術的な特徴を理解することができます。

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