国鉄ワム90000形貨車

国鉄ワム90000形貨車について

国鉄ワム90000形貨車は、日本国有鉄道が製造した15トンを積載可能な二軸有蓋車であり、1953年から1958年までの間に生産されました。この貨車は、特に戦後の貨物輸送において重要な役割を果たしました。ワム90000形は、安定した高速走行を可能にするために、二段リンク式のばね吊り装置を取り入れ、従来の貨車より優れた性能を発揮しました。初めは、1938年から製造されていたワム23000形から150両が改造され、新たにワム90000形としての形式が与えられました。なお、番号の90000台は試作を表す「9」にちなんでいると言われています。

ワム90000形の特徴

ワム90000形の床面高は1090mm、床面積は15.9m²で、重さは15トンです。側面には片開きの荷扱い用扉があり、貨物の積み下ろしが効率的に行える設計となっています。この形式は、戦後の国鉄有蓋車の代表的な存在とされていいるものの、1958年以降はワム70000形などのより近代的な両開き扉を持つ貨車へと移行していきました。

ワム90000形はその番号別に大きく90000番台と123000番台に分類され、前者は昭和28年以降の新製車、後者はワム23000形からの改造車によるもので、それぞれの製造時期や改造内容が異なります。90000番台は元々新造された車両が多く、一部はワム23000形やトキ900形、ワム50000形からの改造車も含まれています。

製造と改造

ワム90000形は1954年以降、さまざまな工場で新造された他、数多くの改造が施されました。例えば、トキ900形から改造されたものや、ワム50000形からの改造車も存在します。123000番台は、元々ワム23000形からの改造車であり、これらは基本的に戦前・戦中・戦後初期に製造された車両が基になっています。

運用と特筆すべき車両

ワム90000形は1955年から急行貨物列車に投入され、特別な標記や色の帯線が追加されました。1969年には18,790両が生存していましたが、1986年には形式が消滅しました。また、特筆すべき車両には、試験的に空気ばねを取り付けた事例や、冷蔵車の不足に対応するために改造されたワム92551、92552が含まれます。さらに、一定数の鋼板屋根車も存在し、通常の有蓋車とは異なる構造を持っていたため、興味深い存在です。

派生形式

ワム90000形から派生した形式には、ポム1形があります。この形式は、陶器車として1958年から1965年まで製造され、主に名古屋鉄道で活躍しました。ポム1形の多くはワム90000形からの改造でしたが、一部は新製されたものも存在します。これにより、ワム90000形はその運用範囲を広げ、長い歴史を持つことができました。

以上が国鉄ワム90000形貨車の概要です。その有用性と多様な改造形式によって、国鉄の歴史に大きな足跡を残しています。

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