国鉄客車の車両形式

国鉄客車の車両形式

国鉄客車の車両形式は、その車両の特性を表すための重要な情報です。この形式称号は、日本国有鉄道（国鉄）時代から使用され、国鉄分割民営化後もJR各社に引き継がれています。本記事では、客車の形式称号の付与方法について詳しく解説します。

形式称号の構成

現存するJR客車の形式称号は、国鉄時代の規程を踏襲していますが、完全に同じではありません。基本的な構成は以下の通りです。

`○●A X`

○: 車両の重量を表す記号
●: 用途を表す記号
A: 形式を表す番号
X: 同一形式内の製造番号

`_`は空白(E26系はハイフン)を表します。

重量記号

重量記号はボギー客車にのみ付与されます。客車は機関車に牽引されるため、重量は重要な要素であり、形式記号の最初に重量記号が含まれています。同一車種（ロネ、ハネ、ハ、ニなど）では、原則として重量記号のみが異なる形式番号は存在しませんでした。しかし、12系登場以降、この原則は崩れ、形式番号が同じで重量記号のみが異なる車両が多く出現しました。

重量記号の種類

以下に国鉄およびJRグループで使用された客車重量記号を示します。

記号なし: 2軸の四輪客車と3軸の六輪客車に使用されます。
コ級: 22.5t未満。「小形」の略とされます。現存しません。
ホ級: 22.5t以上27.5t未満。「ボギー車」または「本形」が語源とされます。現存しません。
ナ級: 27.5t以上32.5t未満。「中形」または「並形」が語源とされます。現在はJR西日本ナハ35 4001のみが該当します。
オ級: 32.5t以上37.5t未満。「大形」が語源とされます。12系、14系、24系、50系など、多くの国鉄客車がこのクラスに該当します。
ス級: 37.5t以上42.5t未満。「鋼鉄車」が語源とされます。スハ32形、スハ43形、スロ60形などが該当します。
マ級: 42.5t以上47.5t未満。英語のMaximum（極大）が語源とされます。マヤ35形、マシE26形、77系客車などが該当します。
カ級: 47.5t以上。「濶大（かつだい）」が語源とされます。20系、24系、E26系などの電源設備搭載車両が代表例です。

用途記号

用途記号は、客車の用途に応じて単独で、または組み合わせて使用されます。緩急車には記号の末尾に「フ」が加えられます。

形式を表す番号

1941年に制定された称号規程では、鋼製客車の十位の数字は木造客車との区別を容易にするため3-9と設定されました。1953年称号規程では1・2も加えられ、軽量客車、固定編成客車等に使用されました。

一位の数字は台車の車軸数を表し、0 - 6が2軸ボギー車、7 - 9が3軸ボギー車でした。1953年の規定改正により、それまで一位が7であった3軸ボギー客車は形式称号が変更されました。

同一形式内の製造番号

製造番号は、原則として製造順に1から番号が付けられますが、仕様や用途の違いによって番台区分されることがあります。電気暖房を設備する一般形客車については、原番に2000が加えられます。

木造・雑形客車等の形式番号

2軸車・3軸車、大正期の制式木造客車や、私鉄の買収によって国鉄籍を得た客車は、1928年に制定された称号規程による形式番号が、1941年鋼製客車に独自の称号規程が制定された後も、改称されることはありませんでした。その後1953年の規程改正で変更が行われました。

規程の歴史

客車の形式変更に関わる規定は、時代とともに変化してきました。明治時代から始まり、1911年、1928年、1941年、1953年と主要な改正が行われました。これらの改正により、客車の形式称号はより体系化され、詳細な情報を示すものとなりました。

国鉄分割民営化後

国鉄の分割民営化後は、電車・気動車の増備と更新が優先され、客車は既存の系列のみが保有されました。しかし、1999年にはJR東日本E26系客車が登場し、新たな展開を見せました。また、JR九州77系客車では、従来の等級号に加え、「イネ」が採用され、実質的に3等制が復活しました。

客車の形式称号は、その車両の歴史と特性を物語るものです。本記事を通じて、その奥深さに触れていただければ幸いです.

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