国鉄3800形蒸気機関車

3800形蒸気機関車の歴史と特性

3800形蒸気機関車は、日本国有鉄道の前身である鉄道院に属していたタンク式の機関車です。この機関車は、1898年に日本鉄道がイギリスのダブスから輸入したもので、当初はDb3/6形と呼ばれていました。3800形は、4-6-2の車軸配置を持つ唯一のタンク機関車として、日本の蒸気機関車史において特異な存在です。

構造と設計

3800形の設計には、当時の技術的挑戦が反映されています。構造は非常に特異で、低質な常磐炭田産の石炭を燃料とするため、広火室と燃焼室の形状がウッテン式に近い設計となっていました。このため、ボイラーの伝熱面積と火格子面積の比率は他の機関車より小さくなっています。また、他の形式と異なり第1動輪はフランジレスで、これが脱線の原因となることがあるなど、構造上の課題を抱えていました。

改造と運用

1914年には、国有化後の改造が行われ、ボイラーの効率を高めるために火格子面積が縮小され、燃焼室が撤去されました。また、選ばれた機関車は勾配線用に配属され、日露戦争中には全車が陸軍に供出され、満州へと輸送されました。戦後、機関車は無事帰還し、国有化後、3800形として新たに形式名が与えられました。最終的に、1922年に全車が解体されるまで、いくつかの庫に配置されましたが、晩年は仙台庫に集結しました。

技術的な性能

3800形の主要諸元を見ると、全長は10,953mm、全高は3,734mm、全幅は2,426mm、軌間は1,067mmとなっています。動輪の直径は1,372mmであり、シリンダーは432mm×584mmという大きさでした。ボイラー圧力は11.2kg/cm2から12.7kg/cm2に及び、火格子面積は2.42m2から1.57m2に変更されています。

機関車の最大引張力は7,560kgであり、その優れた引っ張り能力は印象的です。しかし、その一方で設計上の問題や燃料の質の低さが影響し、運用においては多くのトラブルも報告されていました。

まとめ

3800形蒸気機関車は、日本の鉄道発展における貴重な存在であり、特異な構造と運用実績が注目されます。短命であったものの、その影響は今なお語り継がれており、蒸気機関車の魅力を存分に感じさせる存在です。この機関車の設計思想や運用エピソードは、鉄道ファンのみならず、多くの人々にとって興味深いテーマとなっています。

もう一度検索