国鉄5900形蒸気機関車

5900形テンダ式蒸気機関車

5900形はかつて日本国有鉄道の前身である鉄道院と鉄道省に所属していたテンダ式蒸気機関車です。この機関車の起源は、山陽鉄道がアメリカのボールドウィン社から製造した28両の機関車にさかのぼります。これらは4-4-0(2B)の車軸配置を持ち、2気筒単式の飽和式の機関車です。ボールドウィン社での形式名は8-24Cで、山陽鉄道では12形として知られていました。

1906年に山陽鉄道は国有化された後も、当初は山陽鉄道時代の形式番号が使われていましたが、その後1909年に鉄道院の車両形式称号規程が導入され、本形式は5900形（5900から5927）に改称されました。

製造の詳細

5900形の製造履歴は次の通りです。最初の6両は1897年2月に製造され、その後1897年7月に12両、1901年5月にさらに10両が追加されました。これにより、5900形は急行列車牽引のために本格的に導入されたことも特徴です。特に、直径1524mmの動輪を持ち、形態はアメリカの古典的な機関車スタイルを彷彿とさせます。

ボイラーはワゴントップ形状であり、第一缶胴には砂箱、第三缶胴上には蒸気ドームが配置されています。火室の上には安全弁が設けられており、そのデザインには時代の技術的特性が表れています。1897年製の機関車と1901年製の機関車の間には、前端ビームや煙突の長さ、ボイラー中心高さなどのわずかな違いがありますが、形式としては区別されていませんでした。また、先台車の車輪のスポークの本数は1897年製が8本、1901年製が10本であり、それぞれの製造年に応じた特性がありました。

転属と最終的な運命

国有化後、5900形は関西本線西部、総武本線、房総線に転属されました。1923年には岡山に集められ、山陽本線で使用された残りの機関車は関東地方にて運行されました。廃車は1925年から1932年にかけて行われ、譲渡や保存された例は確認されていません。それでも、著名な著作『東海道線130年の歩み』には、関東大震災で転覆した5908の写真が収められています。

主要諸元

5900形の前期型に関する主要な諸元は以下の通りです：

• - 全長: 14,313mm
• - 全高: 3,626mm
• - 全幅: 2,754mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 4-4-0(2B)
• - 動輪直径: 1,524mm
• - 弁装置: スチーブンソン式アメリカ型
• - シリンダー（直径×行程）: 381mm×559mm
• - ボイラー圧力: 10.2kg/cm²
• - 火格子面積: 1.39m²

このように、5900形は車両のデザインや技術的特性が日本の鉄道史において重要な位置を占めており、今でもその存在は多くの鉄道ファンの記憶に残っています。

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