国鉄7850形蒸気機関車

7850形蒸気機関車の概要

7850形は、日本の鉄道史に名を刻むテンダ式蒸気機関車であり、主に関西本線で使用されていました。その起源は1898年、英国のダブス社で製造されたもので、当初は関西鉄道にて鈴鹿山脈の厳しい勾配区間での運行を目的としていました。

歴史的背景

この機関車は、関西鉄道が山岳地帯での運行に適した機材を求めていた時期に登場しました。製造時における車軸配置は2-6-0（1C）型となっており、2気筒の単式飽和方式を採用しています。最初の10両（3598 - 3603，3615 - 3618）は、1898年に製造され、以後1908年にはさらに2両（17725, 17726）が追加されました。これらは「電光」として知られ、異なる番号が与えられました。

特筆すべきは、テンダ機関車でありながら機関車本体に側水槽を備えている点です。これにより、動輪の粘着重量を確保し、勾配区間での走行性能を高めています。形状は他のクラスの機関車と異なり、日本のテンダ機関車の中で唯一の独自の設計となっています。

国有化と形式変更

1909年に鉄道院の車両形式称号規程が制定され、関西鉄道に属していた30形は7850形（7850 - 7859）に改称されましたが、同時に製造された122, 123は誤って7800形に分類される誤りがありました。1913年にはこの誤りが修正され、7860、7861として正しく列挙されることとなります。

運行実績と改造

国有化後、7850形は引き続き関西本線の亀山・加茂間で使用されましたが、大正中期には新型機に押され、山陰本線の豊岡や鳥取などに配属されました。大正末期には、半数が関西本線の王寺に戻り、別の機関車とともに運行されました。

加えて、入換用に改良が施され、機関車の原型は大きく変わりました。シリンダ径が縮小され、蒸気圧が上げられ、動力逆転器も追加されました。さらに、特徴的なトロピカルタイプの運転室は一般的な型式への改装が行われており、見た目の変貌を遂げました。

廃車とその後

7850形の廃車は、1931年に門司鉄道管理局に所属していた7856 - 7861が行われ、その後、1933年には大阪鉄道管理局の7850 - 7855が廃止されました。これらの機関車は民間へ販売されることはなく、保存されることもありませんでした。

主要諸元

その形状や機能に関するいくつかの主要スペックは次の通りです。

• - 全長: 14,459 mm
• - 全高: 3,673 mm
• - 全幅: 2,286 mm
• - 軌間: 1,067 mm
• - 動輪直径: 1,250 mm
• - シリンダー: 406 mm×559 mm
• - ボイラー圧力: 12.7 kg/m²
• - 機関車整備重量: 41.67 t

これらの数値は、7850形がいかに特異な設計であるかを物語っており、また日本の鉄道史においても重要な役割を果たしたことを示しています。7850形は、そのユニークな設計と機能性から、ある意味で日本の蒸気機関車の象徴でもあったのです。

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