国鉄900形蒸気機関車

900形蒸気機関車の概要

900形は、かつて日本国有鉄道とその前身である鉄道院および鉄道省に属していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は、1898年に日本鉄道がアメリカ合衆国のスケネクタディ社から輸入したもので、当初は近距離の快速運転に使用されました。1906年に国有化されて官設鉄道に編入されると、900形に改称されました。

特徴と設計

900形の設計は、1893年に計画された上野から中央停車場（現在の東京駅）への高架線の建設に合わせて、スケネクタディ社が手掛けたものです。車軸配置は2-4-2(1B1)で、2気筒の単式蒸気機関を使用しています。動輪の直径は1,422mmと比較的小さく、短い固定軸距（1,676mm）により非常に小回りが利く設計となっていました。この特性は、同時期に製造された山陽鉄道の950形と共通する点であり、機動性に優れた機関車でした。

運転室は密閉式であり、ボイラーの火室が動輪の後方に配置され、運転室内に一部が収められています。また、ボイラーは細長く、大型の側水槽が特徴です。煙室の側面には支柱（ブレース）が取り付けられており、構造的な支持を行っています。運転室近くの蒸気ドームには汽笛と安全弁が配置され、砂箱はその前方に設置されています。側水槽は角型ながら角に丸みを持たせたデザインです。

主要諸元

この機関車の主要な諸元は以下の通りです：

• - 全長：9,449mm
• - 全高：3,682mm
• - 全幅：2,489mm
• - 軌間：1,067mm
• - 動輪直径：1,422mm
• - シリンダー直径×行程：356mm×559mm
• - ボイラー圧力：12.7kg/cm²
• - 機関車運転整備重量：45.77t など。

運用履歴

900形は、主に田端、大宮、宇都宮の各地点に配属され、東北線の上野から大宮間の運行に用いられていました。しかし、他の路線での運用は限られており、中央停車場の建設の不透明さから、一部は水戸へ転用されました。この転用先での正確な運用情報は不明ですが、1906年の時点では配置状況が記録されています。

1909年、鉄道院の形式命名により900形は900〜925の番号が付与され、東部鉄道管理局に配置されましたが、移動は少なかったため、運用範囲が限定的でした。1931年には、主に入換用に使用される車両が多くなり、営業列車として使われることはなくなりました。

廃車と最終的な運命

1935年までの期間内に多くの900形は廃車され、その後も数両が運用を続けました。1950年にはわずか3両のみが運用され続けていましたが、老朽化や破損が進むにつれ、運用は減少しました。最終的には1955年に廃車が決定され、機関車にしめ縄を飾り、神職による告別式が執り行われました。保存車は存在せず、900形の歴史は幕を閉じました。

譲渡とその後

1940年には八幡製鉄所に1両が譲渡され、使用されましたが、原形をほとんど留めない姿に改造されてしまいました。また、流山鉄道から923が借りられましたが、その結果、線路に被害を与えたことも記録されています。

このように、900形蒸気機関車はその設計と運用の歴史において、日本の鉄道史における重要な存在でしたが、今ではその姿を見ることはできません。

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