国鉄C57形蒸気機関車

国鉄C57形蒸気機関車

概要

国鉄C57形蒸気機関車は、1937年に日本で製造された旅客用テンダー式蒸気機関車です。SLとして知られるこの機関車は、現在も山口線や磐越西線などで運行され、マスコミなどで「貴婦人」という愛称で親しまれています。また、鉄道ファンの間では「シゴナナ」と呼ばれることもあります。C57形は、日本における最後の旅客用SLとしての地位を持ち、1975年の運行停止まで、広く使用されました。

誕生の背景

この機関車は、初めはC55形の改良モデルとして開発されましたが、多くの改良が施されたため新たな形式として位置づけられました。1947年までの間に合計201両が生産され、高い信頼性を持つ機関車として旅客運行に貢献しました。C57形の性能向上に寄与した要因の一つには、ボイラー使用圧力の引き上げとそれに伴う設計変更があります。これにより、C55形よりも石炭と水の消費が削減され、出力が改善されました。

構造と設計

C57形はC55形と大きく異なる点がいくつかあります。その一つは、ボイラーの使用圧力が14kg/cm²から16kg/cm²に引き上げられたことです。これにより、機関車全体の性能が向上しました。また、動輪の構造変更や煙室のデザインも特徴的です。製造年により、各形態にはいくつかの基本設計の違いがあります。特に戦後型のC57形は、密閉型運転室などの設計がなされています。

生産状況

国鉄C57形は、川崎車輛、汽車製造、三菱重工業、日立製作所の4社によって生産されました。製造時期によって異なる各形態は、戦争による資材の削減などの影響を受けつつも、そのデザインと性能は高い評価を得ています。特に、1940年から1942年に製造された第2次形と、その後の3次形、4次形は、いずれも重要な役割を果たしました。

運用と歴史

C57形は、全国各地の優等旅客列車を牽引するために幅広く使われました。特に地方路線では、その能力を活かして急行列車を運行しました。1960年代までの長い運用期間中で、さまざまな特急列車の要請に応え、新たな役割を果たしました。1975年に国鉄が蒸気機関車を用いた旅客運行を終了するまで、この機関車は多大な貢献をしてきました。

保存状況

現在、C57形は動態保存されている機関車が数両存在しており、特にC57 1号機とC57 180号機は、鉄道博物館などで利用されています。台湾のCT273も同型機として動態保存され、地域の鉄道イベントで使用されています。全国各地では、静態保存の形で残る機関車もあり、かつての蒸気機関車の歴史を物語る存在となっています。

愛称「貴婦人」

本機の愛称である「貴婦人」は、その整った美しいデザインに由来しています。通常、1次形や2次形がこの愛称で呼ばれることが一般的ですが、デザイン変更があった3次形以降はその範疇に含まれないこともあります。

C57形蒸気機関車は、今後も多くの人々にその魅力を伝える存在として、鉄道の歴史に刻まれています。

もう一度検索