国防省 (インド)

インド国防省 (Ministry of Defence)

インド国防省（英語名：Ministry of Defence、略称：MoD）は、インド共和国の国家安全保障政策を策定・執行し、インド軍を統括する最高行政機関です。インド政府の中央省庁の中でも特に大きな規模を持ち、割り当てられる予算は政府機関の中で最大となっています。その軍事費は国際的に見ても非常に大きく、2019年時点では世界で第3位の規模に達しています。

歴史的背景

インド国防省の起源は、イギリス東インド会社がインドを統治していた時代に遡ります。1776年、カルカッタ（現在のコルカタ）に設置された軍事部門がその始まりとされています。この部門の主な役割は、東インド会社の各部門から発せられる軍事関連の指示や命令を処理し、記録を管理することでした。この体制は、イギリスによる直接統治下でも引き継がれました。

インドが1947年にイギリスからの独立を達成した後、国防に関連する業務は首相の直接的な管轄下に置かれ、「国防省」として再編成されました。時代の変化と国防の現代化に対応するため、国防省内部には専門的な機能を担う部署が次々と設置されていきました。

1962年11月には、国防生産局が設立されました。これは、国防分野における研究開発を推進し、軍事装備品の国産化や生産を強化することを目的としていました。
1965年には防衛用品局が設置されましたが、後に国防生産局に統合され、生産関連の機能を一元化しました。
1980年には国防研究開発局（DRDO: Defence Research and Development Organisation）が創設され、高度な防衛技術の研究開発を専門的に担う体制が確立されました。
比較的最近では、2004年に退役軍人福祉局が設立され、インド軍の元兵士やその家族に対する福祉サービスの向上に力が入れられるようになりました。

組織構成

インド国防省は、効率的な業務遂行のために複数の内部部局に分かれて機能しています。主要な構成部門は以下の通りです。

国防局: 国家安全保障政策の策定、議会との連携、軍事関連の法規や行政手続きなどを担当します。
国防生産局: 防衛装備品の生産、調達、品質管理、輸出入など、防衛産業全般を管轄します。
国防研究開発局: 最先端の軍事技術や装備の研究開発、試験、評価を行い、インド軍の技術的優位性を確保する役割を担います。
退役軍人福祉局: 退役軍人、軍務中に殉職した兵士の遺族、軍属の家族に対する年金、医療、教育、再就職支援などの福祉サービスを提供します。

これらの内部部局に加え、国防省は国家安全保障や軍事に関連する複数の大学や研究機関を管轄下に置いています。これには、防衛学分析研究所、先端技術防衛研究所、心理学防衛研究所、インド国立防衛大学などが含まれ、人材育成や専門研究を通じて国防政策の質の向上に貢献しています。

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