国際劇場

国際劇場（こくさいげきじょう）は、東京都台東区浅草にかつて存在した劇場で、主に松竹の直営により運営されていました。特に松竹歌劇団の強い拠点として知られていました。

1937年、幸龍寺の跡地にて開館し、国内外に同名の劇場・映画館が多数存在したため、「浅草国際劇場」と呼ばれることが一般的でした。この劇場は3800席と1000席の補助席を備え、舞台の大きさは当時としては比較的広く、観客を魅了する多彩なプログラムを提供しました。こけら落としは松竹少女歌劇の公演で、以降も四季折々のグランドレビューや映画公演が盛んに行われました。

国際劇場は開館後、多様なエンターテイメントを提供し続けました。松竹歌劇団のレビューが主軸となり、後には人気の歌手や喜劇、さらには女剣劇などのパフォーマンスも行われるようになりました。特に1970年代には、ザ・ドリフターズの特別公演がゴールデンウィークに開催され、劇場は多くの観客を引きつけました。その後、1982年に劇場は閉鎖され、解体された後、跡地には浅草ビューホテルが建設されました。

国際劇場はその歴史において様々な出来事がありました。例えば、1944年に戦時中の食料節約のため、地下食堂が雑炊を提供する場となり、一時的に閉鎖されました。1945年には東京大空襲によって一部が被災しましたが、その後再建され、1947年に松竹歌劇団の公演によって劇場としての営業を再開しました。このように、国際劇場は戦後の復興を経て再び地域の文化を支える役割を果たしました。

劇場の建物は地上4階地下1階という構造で、設計は成松建築事務所によって行われました。鉄骨鉄筋コンクリート造で、定紋は地球をモチーフにしたもので、日本列島が中央に描かれていました。開館当初は華やかな外観でありましたが、戦争による空襲の影響で大きな損傷を受け、内部には食堂や休憩所が併設されるようになりました。

楽屋口の左側には小さな稲荷神社があり、松竹歌劇団のメンバーは舞台に立つ前にお参りする習慣がありました。これにより、キャストは精神的な支えを得ることができたと言われています。また、夏には浴衣姿の観客が見られるなど、庶民向けの劇場として地域に根づいた存在でした。英語でのアナウンスも早い段階から実施されていたため、外国人観光客にも親しまれました。

さらに、国際劇場では1950年代から1970年代にかけて、多数の著名なアーティストが公演を行い、その中には美空ひばりやフランク・ザッパといった名だたる人物が含まれています。特に1981年のLOUDNESSのデビューコンサートは、当時の日本の音楽界において重要な出来事として記憶されています。

国際劇場は1983年に解体されましたが、東京大空襲から生じた曲がった鉄骨が建物内から発見され、この鉄骨は江戸東京博物館や多聞寺に展示されています。このように、国際劇場の記憶は現在も多くの人々に語り継がれています。

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