国際動物命名規約

国際動物命名規約について

国際動物命名規約（ICZN）は、動物学における学名の決定に係る唯一の国際的な指針です。この規約は動物命名法国際審議会によって策定されており、生物の学名に関する基準を提供しています。この規約は1999年に発行された第4版が最新であり、動物の命名法、歴史、改訂の経緯、他規約との関連など包括的に扱われています。

制定までの歴史

学名の体系は、カール・リンネの『Systema Naturae』第10版にさかのぼります。特に動物の命名法は、1758年にリンネが出版した著作に基づいていますが、国際的に統一された基準が確立されるまでには時間がかかりました。19世紀に入ると、イギリスのヒュー・ストリックランドを中心に動物命名法に関する規約の案が検討され、その成果が1842年に発表されました。これが「ストリックランド規約」と呼ばれ、他国にも影響を与えました。

本格的な国際基準の設立は1889年のパリでの第1回国際動物学会議から始まり、そこでの議論を経て、1901年にベルリンで採択された『Règles internationales de la Nomenclature zoologique』が旧規約として知られています。この規約は、その後数回にわたり改定されてきましたが、内容に不備があったため、1948年の第13回国際動物学会議での改訂が決定しました。1958年、ロンドンで新規約が採択され、1961年に正式に発行されました。

改訂の沿革

国際動物命名規約はこれまでに3回の改訂が行われました。第1版では、旧規約からの条項が36から87に増加し、動物命名規約の対象外として変種や雑種が規定されました。第2版では先取権の制限がより詳細に制度化され、第3版ではリンネに加えてClerckのクモ類の文献が新たに起点として認められました。

1999年に発行された第4版は、さまざまな会議を経た結果を受けて改訂され、附則に含まれていた古典語に関する項目が削除される一方で、使用可能な言語が広がるなどの変更がありました。

先取権の原則

学名の有効性を確認するための先取権の原則は、安定性に対する懸念も伴います。広く認知されている学名が、出所が不明な新しい学名によって覆される場合があるためです。このため、規約には先取権に対する例外が盛り込まれています。

他の命名規約との関連

動物、原核生物、植物それぞれの命名規約は独立しており、名称に関する細部は異なるものの、統一を目指す「Bio Code」や「bionomenclature」の提案も存在しています。国際生物科学連合への移行も進められていますが、現在亦然とは統一には至っていません。

相違点：動物と植物の命名規約

動物命名規約と国際植物命名規約（ICBN）には、反復名や献名された属名、記載の言語、及び分類群や付帯記号に関する取り扱いに多くの相違点があります。動物では反復名の使用が許容されている一方、植物では禁則とされています。また、学名に使用される言語や記号の取り扱いにも差があります。

まとめ

国際動物命名規約は動物の学名の国際的基準を確立するものであり、長い歴史の中でさまざまな改訂が行われてきました。他の命名規約との関連性や相違点を理解することで、動物命名法をより深く理解することが可能です。

もう一度検索