国際婦人年

国際婦人年（国際女性年）

国際婦人年、または国際女性年は、1975年に国際連合が女性の地位向上を目的として設立した国際年です。この年にメキシコシティで開催された第1回世界女性会議では、多くの国からの代表が集まり、女性に対する差別撤廃に向けた「世界行動計画」が採択されました。これは、国際的な女性の権利の基盤を築く重要なステップとなりました。

背景と歴史

国連女性の地位委員会（CSW）は、1965年から数年にわたり女性に対する差別を撤廃する宣言を作成する作業を行っていました。この努力の中で、1972年には米国で教育における差別撤廃を目的としたTitle IX法が可決され、女性の不平等問題に対する注目が高まりました。1972年の国連総会では、1975年を国際女性年とすることが決定され、国連発足30周年の年にあたることもその意義を深めました。

メキシコシティでの会議

第1回国連女性会議は1975年6月にメキシコシティで開催され、1000人以上の代表が参加しました。この会議では、女性の平等と平和への貢献に関するメキシコ宣言も採択され、国連の枠組み内で女性の権利向上に向けた新たな監視メカニズムが設立されることとなりました。特に国際婦人調査訓練研究所（INSTRAW）や国連女性開発基金（UNIFEM）なども設立され、女性の地位向上に向けた意義ある活動を推進しました。

国際婦人年の成果

国際婦人年はその後、「国連婦人の10年」として拡大され、1985年までの期間にコペンハーゲンやナイロビ、北京での世界女性会議が続きました。1985年にナイロビで開催された会議では、性差別撤廃に向けたさらなる具体的な行動が求められ、各加盟国が法律を整備する期限が設定されました。このように、国際婦人年は女性に対する差別を撤廃するための国際的な取り組みを促進する重要な契機となったのです。

用語の変遷

また、国際婦人年の呼称についても考慮する必要があります。制定の際には「国際婦人年」とされていましたが、1990年には「婦人」という用語の見直しが提言され、ようやく「女性」という言葉が広く使われるようになりました。現在では「国際女性年」という用語が一般的であり、内閣府の報告書や専門家によってもこの名称が使用されるほか、歴史的な文献や資料でも「国際女性年」として言及されています。

国々の取り組み

国際婦人年を契機に、各国でもさまざまな取り組みが行われました。オーストラリアでは、女性と政治に関する会議が開催され、700人以上の女性が参加しました。カナダでは女性の権利に関する認識を高める活動が展開され、多くの女性団体が設立されました。日本でも1990年代に入ってから、男女雇用機会均等法や国籍法の改正が行われるなど、国際的な流れに影響を受けた法改正が相次ぎました。

まとめ

国際婦人年は、女性の地位向上と権利促進に向けた国際的な協力の象徴となり、各国においても具体的な成果を生む礎となりました。この活動が以降の女性解放運動や権利向上の基盤を築くことにつながったと言えるでしょう。

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