国際教員指導環境調査

国際教員指導環境調査（TALIS）について

国際教員指導環境調査（Teaching and Learning International Survey, TALIS）は、経済協力開発機構（OECD）が主催する、教育環境や教員の労働条件についての国際的な調査です。この調査は、教育の質を向上させるためのデータ収集を目的としており、2008年に始まり、以来数回の調査が実施されています。日本は2013年からこの調査に参加し、現在に至るまで教育現場の状況を客観的に分析する貴重なデータを提供しています。

TALISの調査概要

過去のTALIS調査は、2008年、2013年、2018年の3回にわたり行われ、日本は2013年の第2回から調査に参加しました。第2回の調査では、日本の中学校から合計10,863校、289,125人の教員が対象となりましたが、有効回答を得たのは標本抽出によって選ばれた192校の校長と3,484人の教員だけでした。日本の教員の特徴として、参加国の中で最も長い勤務時間が注目され、結果として学校における働き方改革が進められるきっかけになりました。

教員の勤務環境

2013年の調査によると、日本の教員の1週間あたりの平均勤務時間は53.9時間と、参加国の中で最も長い結果が出ました。対照的に、参加国の平均は38.3時間でした。カナダやシンガポールも高い数値を示していますが、日本がトップということは、教員にかかる負担が特に大きいことを意味します。また、授業時間に関しても、日本は17.7時間と、参加国の平均19.3時間よりも短く、会議時間や課外活動に費やす時間が長いことが特徴です。これにより、日本の教育制度の特異性が浮き彫りになります。

教員不足と資質

調査はまた、教員不足の問題も浮き彫りにしました。有資格教員の不足は79.7%に達し、特別支援教育に関しても76%、職業教育においては37.3%という深刻な結果が示されています。これらの数字は、参加国の中でも最も高い値であり、教育の質に影響を及ぼす要因となっています。一方で、日本の教員は初任者研修やメンター制度、他校の視察など、教育に必要なスキルを磨く機会に恵まれているという側面もあります。

2018年の変化

2018年の調査では、参加国が48か国に広がり、引き続き日本の教員の勤務時間は最長であることが確認されました。中学校での平均勤務時間は56時間、小学校でも54.4時間となり、前回調査よりも増加していました。しかし、女性教員の割合は引き続き低く、全体の39%にとどまる一方で、職員会議や事務時間などの時間も依然として長い傾向が続いています。

TALIS調査は、日本の教育制度を見直す重要な手がかりを提供しています。その結果を踏まえて、どのように働き方改革や教育制度の改善に結びつけていくかが、今後の課題といえるでしょう。日本の教育制度が抱える課題を共に解決する道筋を探ることが、教育の質を高め、未来を担う子どもたちのためになるはずです。

もう一度検索