国際法曹協会

国際法曹協会（IBA）とは

国際法曹協会（International Bar Association, IBA）は、世界各国の弁護士団体が加盟する国際的な組織です。国際弁護士会、国際弁護士協会とも訳されます。1947年2月17日、ニューヨークにて34の国と地域の弁護士会によって設立された任意団体です。本部はイギリスのロンドンに置かれており、国際支部は韓国のソウル、ブラジルのサンパウロ、アメリカのワシントンD.C.にあります。現在では、200を超える国と地域から8万人以上の弁護士が加盟しています。

組織と活動

IBAは、汚職防止委員会や地域別の委員会など、80近くの委員会を設けており、会員が参加できます。これらの委員会では、国際的な法務問題に関する議論や情報交換が行われています。

提携団体

IBAは、以下の国際機関と提携関係にあります。

国連総会（UNGA）および国連経済社会理事会（ECOSOC）：1947年から特別顧問機関の地位を持っています。
経済協力開発機構（OECD）：2012年10月に経済外交の強化について協力する提携をしました。
OECDおよび国連薬物犯罪事務所（UNODC）：法曹汚職防止のためのプログラムで提携しています。
国際会計士連盟（IFAC）および国際使用者連盟（IOE）とも提携しています。

部門

IBAには、法律実務部（LPD）と公共専門支援部（PPID）の二つの部門があり、各部門には細分化された分野ごとの委員会やフォーラムがあります。これらの部門では、国際法務実務に関する書籍を発行しています。PPIDが2004年に設立した弁護士会問題委員会（BIC）は、世界の弁護士会の代表者で構成されています。また、人権研究所（IBAHRI）は、1995年にネルソン・マンデラ名誉会長時代に設立され、司法の独立や公正な裁判を受ける権利の推進・維持に取り組んでいます。

活動グループ・暫定グループ

IBAは、以下の活動グループや暫定グループを設置し、様々な問題に取り組んでいます。

法の支配の活動グループ
経済危機に関する暫定グループ
テロリズムに関する暫定グループ

社会との関わり

IBAは、国際法務の実践に関する規範やガイドラインを策定しています。1999年に採択され、2010年に改訂された「国際仲裁における証拠調べに関するIBA規則」は、国際商事仲裁で使用されることがあります。その他にも、国際仲裁における利益相反に関するガイドラインや国際仲裁条項の起草に関するガイドライン、法律専門家の行動に関する原則などを発行しています。

国際優秀女性弁護士賞の表彰

IBAは、レクシスネクシスの出資により、2年ごとに国際優秀女性弁護士賞を授与しています。

IBAの声明

IBAは、国際的な問題について、声明を発表しています。

2020年には、国連の対女性暴力特別報告者の報告を受けて、女性に対するレイプは性別に基づく組織的な犯罪であり、深刻な人権侵害であると非難しました。また、国連加盟国に対し、レイプ活動の人道に対する罪としての犯罪化や、国際刑事裁判所ローマ規程の批准を含む20項目の勧告を行いました。
2023年3月には、ロシアによる2022年のウクライナ侵攻を非難し、戦争犯罪としての訴追を訴えました。また、ウクライナの検事総長と協力に関する覚書に署名しました。
2023年10月には、ハマスによるイスラエル攻撃を非難し、イスラエル人の誘拐は人権法・人道法に反する重大な犯罪であると声明しました。一方で、イスラエルの反撃については、パレスチナ民間人に危害を与えない軍事行動の区別・比例性原則の法的遵守を求めました。さらに、12月にはイスラエル軍によるパレスチナ人への救援物資供給の意図的な遮断を非難し、即時停戦を呼びかけました。

メンバー

IBAの歴代会長には、アメリカ、イギリス、日本、ベネズエラ、スペイン、アルゼンチン、バミューダ、ドイツ、スリランカなど、様々な国籍の弁護士が就任しています。

著名な会員としては、ウクライナの元検事総長であるアンドリー・コスティン氏が挙げられます。彼は、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の指名により、2022年7月から在任しています。

まとめ

IBAは、国際的な法律問題に取り組む上で、非常に重要な役割を果たしている国際組織です。世界中の弁護士が加盟し、国際法務の発展や人権保護、国際平和に貢献しています。

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