国際熱帯木材機関

国際熱帯木材機関（ITTO）について

国際熱帯木材機関（International Tropical Timber Organization、略称：ITTO）は、熱帯雨林の保護と持続可能な利用、さらには木材貿易の拡大を目的とした国際機関です。本部は横浜市のみなとみらい地区に位置し、世界中の熱帯林と木材産業に関する取り組みを行っています。

機構の設立

ITTOは、1983年に制定された国際熱帯木材協定を基に、1986年に設立されました。この協定は国際連合貿易開発会議で採択され、1985年に発効しています。ITTOの設立以降、1994年と2006年にはそれぞれ国際熱帯木材協定が改定され、持続可能な森林管理や合法的な伐採を促進するための権限が拡充されました。

最高意思決定機関である国際熱帯木材理事会（ITTC）では、生産国と消費国から特定の議決権が配分されており、これによりそれぞれの国の市場シェアに基づいて意思決定が行われます。生産国は34カ国、消費国は38カ国という構成です。

ITTOの事務局長は、設立当初から生産国出身者が多く務めてきましたが、2016年にはカメルーン出身の事務局長が不正投資事件で辞任し、ドイツ出身のゲルハルト・ディータリーが初の消費国出身の事務局長に就任しました。2021年にディータリーの任期が満了した後、マレーシア出身のジャーム・サックルが次期事務局長に選ばれ、再び生産国出身者が事務局長に就く運びとなりました。

権限と活動内容

ITTOの主な役割は、熱帯木材の国際取引を規制するコモディティ機関として機能することです。本来の目的は熱帯森林の保護ですが、具体的な規定は多岐にわたります。1990年にITTCは、2000年までに輸出される全ての木材が持続可能に伐採されたものであるとする決議を採択しました。

また、1987年にはハーバード大学国際開発研究所に対し、熱帯林の多目的利用に関する調査を依頼しました。この調査では非木材生産物や森林の持続可能性を向上させる方法についても考察され、1988年に結果がまとまりました。その後、1990年と1992年にわたり、調査結果が刊行物として更新されています。

ITTOは、さらに季刊刊行物「熱帯林ニュースレター」（ISSN 1022-5439）を英語、フランス語、スペイン語の三言語で発行し、オンラインで広くアクセス可能にしています。このニュースレターでは、熱帯林に関連する新たな情報や研究成果が共有され、国際的なプレゼンスを強化しています。

ITTOの活動は、環境保護と経済発展の両立を追求し、多国籍な協力を促進することで、持続可能な森林管理の実現に貢献しています。

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