国際産業遺産保存委員会

国際産業遺産保存委員会（TICCIH）

国際産業遺産保存委員会、通称TICCIHは、産業考古学に関する知見を深め、産業遺産の保護と普及を目指す国際的な団体です。この組織の中心的な関心は、産業革命以降に関連する遺産にあり、製造業や採掘業、交通インフラなど幅広い分野にわたる物質的および文献的な遺物を対象としています。TICCIHは、その研究や活動において、さまざまな分野の専門家や愛好家を取り込むことを重要視しています。

TICCIHの設立は1973年に遡り、イギリスのアイアンブリッジで開催された「産業遺産保護のための国際会議」の第一回大会をきっかけにしました。この会議は3年ごとに開催され、国際的な交流を促すプラットフォームとして機能しています。第13回大会は2006年にイタリアで行われ、多くの国からの参加者が集まりました。

組織の運営は議長と評議員会によって行われ、これらの役職者は各国の国内委員会や関連団体の代表から選出されます。また、TICCIHには個人会員と団体会員の両方が存在し、参加団体は産業考古学に関する特定のフィールドで活動する学会や団体が含まれています。具体的には、北米産業考古学会やフランスのCILAC、そして英国産業考古学会などがその一部です。会員には、年に4回定期刊行される学会誌が配布され、最新の研究や活動についての情報が提供されています。

2000年以降、TICCIHはICOMOSの中で産業考古学に関する専門的なアドバイザーとしての役割を担っています。この立場から、世界遺産リストに登録を希望する産業遺産の評価も行っており、その重要性を高める活動に精力的に取り組んでいます。

このように、TICCIHは産業遺産の保護と研究における中心的な役割を果たしており、国際的な協力を通じて産業遺産に対する理解を促進し、その価値を広く伝えることを目指しています。産業考古学という広範な分野において、多様な知見を持つ専門家たちが集まる場として機能しているTICCIHは、産業遺産の未来を形作る上で極めて重要な役割を果たしています。

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