国際連合コソボ暫定行政ミッション

国際連合コソボ暫定行政ミッション（UNMIK）

国際連合コソボ暫定行政ミッション（United Nations Interim Administration Mission in Kosovo; UNMIK）は、1999年6月10日に国際連合安全保障理事会決議1244号に基づいて設立された、コソボの暫定統治を目的とする文民機構です。

設立の背景と目的

コソボ紛争後、国際社会はコソボの安定化と復興を支援するため、国連による暫定統治を決定しました。UNMIKは、紛争によって荒廃したコソボにおいて、以下のような多岐にわたる責務を担いました。

基礎的な文民統治機構の担当
実効性のあるコソボの自治と自治政府の設立の推進
コソボの将来の地位を決定する政治的過程の円滑化
国際的な人道・災害援助の調整
主要インフラストラクチャーの復興
民間の法秩序を維持
人権の推進
難民および国内避難民の帰還支援

組織と活動

UNMIKは、「柱」と呼ばれる4つの部署に分かれて活動していました。

1. 政治と司法（国際連合主導）
2. 文民統治（国際連合主導）
3. 民主化と機関建設（OSCE主導）
4. 復興と経済開発（欧州連合主導）

UNMIKは、武装警察部隊（FPU）や国連警察を監督し、治安維持活動も行っていました。また、北大西洋条約機構（NATO）主導のコソボ治安維持部隊（KFOR）も、UNMIKの支援の下でコソボの治安維持に当たっていました。

コソボ独立宣言後の変化

2008年2月17日、コソボ議会はコソボの独立を宣言しました。しかし、国連安全保障理事会決議1244号は依然有効であり、コソボ統治の最高責任者は依然として国際連合事務総長コソボ特別代表でした。

その後、欧州連合・法の支配ミッション（EULEX）がUNMIKの任務の大半を引き継ぎ、法分野、特に警察、司法、関税の分野においてコソボの当局を支援する立場となりました。UNMIKは規模を縮小し、現在は一部の権限のみを保持しています。

批判と課題

UNMIKは、その活動に対して、以下のような批判も受けています。

主要インフラの復興の遅れ
コソボ政府への権限委譲の遅延
民族間の暴力の頻発
汚職問題
少数民族の人権状況の悪さ
経済開発戦略の失敗

また、UNMIKの存在が、人身売買を助長しているとの指摘もあります。

現在の状況

UNMIKは、コソボにおける国際社会の関与を示す象徴的な存在として、現在も活動を続けています。しかし、その役割は縮小し、コソボの将来は、コソボ自身の手によって切り開かれることが期待されています。初代特別代表はベルナール・クシュネルであり、2022年11月19日よりレバノンのキャロライン・ジアデ(Caroline Ziadeh)が務めています。

UNMIKは、コソボの平和と安定に貢献してきた一方で、多くの課題も残しました。その経験は、今後の国際平和協力活動にとって貴重な教訓となるでしょう。

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