国際連合シリア監視団

国際連合シリア監視団（UNSMIS）

国際連合シリア監視団（UNSMIS）は、シリア内戦における停戦監視を目的として2012年に設置された国際連合の平和維持活動に属する団体です。この監視団の設置は、2011年から始まったシリアの反政府運動が内戦へと発展し、長期化していく過程で必要とされるようになりました。

設立の背景

シリアにおける反政府運動は、2011年1月26日から始まりましたが、その後の政府に対する抗議活動は次第に激化し、内戦状態に突入しました。国際社会はこの事態を重視し、2012年4月21日、国際連合安全保障理事会は全会一致で平和維持部隊を派遣する決議を採択しました。これによりUNSMISは正式に設立され、シリアの全当事者に対してあらゆる形態の暴力の停止を監視する役割を担うこととなりました。

任務の内容と構成

UNSMISの本隊は最大300人の非武装軍事要員で構成され、派遣期間は初め90日間と定められました。国際連合のミッションにおいて、メンバーは武器を持たず、観察と報告に主眼を置いて活動しました。初期の活動では、シリア国内の複数の地域に部隊を展開し、停戦の状況を維持する支援を行いました。

しかし、情勢の悪化により一時活動を停止する事態も発生しました。2012年7月14日に、シリア中部の村タラムセで150人以上が殺害されたとの報告があった際、この場所に調査に入り、UNSMISは「虐殺はシリア空軍によって引き起こされた」との分析結果をまとめるに至りました。この報告は国際社会に大きな影響を与え、シリアにおける情勢の厳しさを示すものとなりました。

新たな派遣期限の7月20日には、この任務の延長についての決議が行われ、さらに30日間の延長が決定されました。しかし、内戦の情勢は一向に改善せず、再延長の動きは見られたものの、合意には至りませんでした。

解散とその後

最終的に、国際連合シリア監視団は2012年8月19日に活動を終了し、撤収することとなりました。国際連合による監視活動が終了した後もシリアの内戦は続き、状況は悪化の一途を辿りました。UNSMISの活動は、武力衝突の縮小や和平の進展に寄与することを目指していましたが、現実にはその短い任務期間内での平和の実現には限界があったと評価されています。

UNSMISの設立とその後の活動は、国際社会がシリアにおける人道的な危機にどう対処するかという課題を浮き彫りにしました。さらに、シリア監視団の解散は、今後の国際的な平和維持活動や戦闘地域への介入に関する議論の一因ともなりました。

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