国際連合事務総長の選出

国際連合事務総長の選出プロセス

国際連合事務総長の選出は、安保理が候補者を勧告し、総会がその候補を任命するという流れで行われます。事務総長として候補者が名乗りを上げるには、安保理の9か国以上の理事国から支持を得る必要があり、常任理事国からの拒否権が発動されないことが不可欠です。このようなプロセスは「選挙」と呼ばれることもありますが、国連では「次期国連事務総長を選出して任命する手続き」として正式に位置づけられています。

国際連合のロゴ'>

歴史的背景

事務総長の選出について明確な規則は存在せず、憲章第97条に「事務総長は、安全保障理事会の勧告に基いて総会が任命する」とのみ記載されています。このため、選出の詳細は慣習や手続き規則に依存しています。1946年には、安保理が候補者をひとりだけ勧告する方式が採用されました。

常任理事国5か国は候補者に対して拒否権を行使することができ、これにより選考が頓挫する場合もあります。1981年には、中国が16回の拒否権を行使したことから、事前投票制度が導入され、これが1996年に「ウィスナムルティ・ガイドライン」として公式化されました。

選出の手順

事務総長の任期が終了する数か月前には、安保理のメンバー間で無記名投票が行われます。この投票では、候補者への支持を「奨励」「落胆」「意見なし」のいずれかで示します。初期の投票結果に基づき、候補者が除外されるか、新たな候補者が立候補することがあります。

その後の投票では、常任理事国と非常任理事国の票を区別して投じられ、「落胆」票が現れた場合、その候補者は本投票で拒否権を受ける危険性が増します。このプロセスを経て候補者が決定されれば、安保理からの勧告が行われ、総会での承認を得る段階に進みます。過去の選考では、総会が安保理から推薦された候補者を否決したことは一度もありません。

候補者の資格や条件

事務総長の候補者には公式な資格要件は設けられていないものの、いくつかの非公式な慣習が存在します。このため、特定の国からの候補者が拒否権の対象となることがあります。常任理事国の国民が事務総長に立候補した事例はなく、これまで選出の際には地域のバランスや言語能力が考慮されてきました。英語とフランス語の流暢さも重要視され、フランス語を話せない候補者には拒否権が行使されたことがあります。

任期や出身地域に関する原則

事務総長の任期は基本的に2期までとされています。1981年の選考では、任期制限が明確に意識されるようになり、地域の持ち回りも重要視されました。もし現事務総長が同じ地域出身で2期以上務めた場合、次の候補者は別の地域から選ばれることになります。

過去の選出とその影響

事務総長が歴史的にどのような経路で選出されてきたかを追うことで、現行の制度がどのように発展してきたかがわかります。国連の設立以来、さまざまな背景と政治的力学が影響を与えていたことは否定できません。

一般的に、事務総長の選出は内外の難しい調整の結果であり、国際政治の現実を反映しています。そのため、国家間の駆け引きが影響する場面が多く見られます。このプロセスの透明性や公正さが、国連自体の信頼性に関わる重大な要素となっています。

もう一度検索