国際連合人権高等弁務官事務所

国際連合人権高等弁務官事務所 (OHCHR)

国際連合人権高等弁務官事務所、英語ではOffice of the United Nations High Commissioner for Human Rights（OHCHR）は、国際連合に属し、全世界における人権の保護及び啓発を目的として活動している機関です。スイスのジュネーヴに本部を置き、約500名の職員が世界中の人権問題に取り組んでいます。日本では「国連人権事務所」として知られています。

設立の背景

この事務所は、アメリカ合衆国などが提案した国際的な人権保護を目的とする専門組織の設立に基づき、1993年に国際連合総会で承認されたウィーン宣言および行動計画に則って設立されました。高等弁務官は国際連合の事務次長クラスの職位であり、人権に関する国際連合の活動を調整・指導しています。また、人権高等弁務官事務所は、国際連合憲章に基づく権限を有しており、ウィーン宣言に記載された目標の達成に向けた取り組みを進めています。

歴代の高等弁務官

歴代の高等弁務官については、事務所の公式サイトなどで紹介されており、これまでのリーダーが国際人権の促進に多大な貢献をしてきたことが認識されています。

日本との関わり

特に日本においては、2010年5月14日に来日したナバネセム・ピレイ高等弁務官が北朝鮮の拉致問題について言及したことが、大きな注目を集めました。彼は拉致被害者の家族と面会し、北朝鮮政府に対する介入的措置を提案し、拉致問題を解決するための国際社会の連携の重要性を訴えました。また、教育権に関する発言もあり、日本に住むすべての人々が平等に教育の機会を持つべきだと強調しました。

2013年には、特定秘密保護法の成立に際して日本の憲法に基づく表現の自由や情報アクセスの保障が不十分であるとの懸念を示しました。このように、国際連合人権高等弁務官事務所は、日本の人権政策についても積極的に意見を述べています。

不祥事と批判

しかし、事務所も一部で問題を抱えていることがあります。2017年には、職員のエマ・ライリーが、中国政府にウイグル地域などの人権活動家の名簿を漏洩したとアメリカ議会に告発しました。この事例は、国際連合人権高等弁務官事務所の透明性や内部管理の問題を浮き彫りにしています。

出版物

国際連合人権高等弁務官事務所は、司法における人権に関するマニュアルなどの出版も行っています。特に『裁判官・検察官・弁護士のための国連人権マニュアル』は、国際法曹協会との共著で、専門家向けに人権問題に対する理解を深めるための重要な資料とされています。

まとめ

国際連合人権高等弁務官事務所は、国際社会における人権の保護に重要な役割を果たしており、定期的にさまざまな国の人権状況について調査と報告を行っています。今後もこの機関の活動に注目が集まるでしょう。

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