国際連合大量破壊兵器廃棄特別委員会

国際連合大量破壊兵器廃棄特別委員会 (UNSCOM)

国際連合大量破壊兵器廃棄特別委員会（UNSCOM）は、イラクにおける大量破壊兵器の廃棄を監視し、促進するために設立された国連の特別機関です。1991年4月に湾岸戦争の終結に伴う国際連合安全保障理事会決議687に基づいて設立され、化学兵器や生物兵器、長距離ミサイルの査察を担当しました。核兵器の査察は国際原子力機関（IAEA）が行うことになっていました。

設立背景と業務内容

UNSCOMは、1991年6月から1998年10月までの約7年間、イラクに対する査察活動を行いました。この間、イラクはさまざまな形で査察団へ協力してきましたが、1998年10月にイラク政府が査察団を追放したことにより、活動は中断されました。その後、アメリカ主導の多国籍軍による軍事行動が発生し、UNSCOMの査察活動は継続されることはありませんでした。最終的に、1999年12月に公式に解体され、その役割は国際連合監視検証査察委員会（UNMOVIC）へと引き継がれました。

組織構造と運営

UNSCOMの初代委員長には、スウェーデンの外交官ロルフ・エケウスが任命され、1997年にはオーストラリアの外交官リチャード・バトラーがその後を引き継ぎました。しかし、1999年6月にバトラーの任期が終了した後は、アメリカの外交官チャールズ・デュェルファが委員長代理を務めることになりました。UNSCOMの本部はニューヨークに位置し、バーレーンには研修所、バグダードには監視検証センターが設置されていました。

この委員会は、年間平均で3,000万から5,000万ドルの予算で運営されていました。その資金は、主にアメリカ合衆国からの寄付によって賄われていました。

評価と成果

UNSCOMの査察活動は、その成果と限界について専門家の間で賛否が分かれています。設立当初の四方策には、イラク側が武器の保有状況を申告し、それに基づいて監視された廃棄が進められるというものでしたが、実際には多くの問題が発生しました。イラク側は大量破壊兵器の存在を完全に申告せず、廃棄も計画通りに進みませんでした。

その中でも、UNSCOMが果たした重要な役割は以下の通りです：

• - イラク側からの申告がないミサイルが査察活動を通じて発見されたこと。
• - 亡命したイラクの高官フセイン・カマルの情報により、生物兵器の開発が明らかになったこと。
• - 申告された武器及びその製造設備の破棄が確認されたこと。

これらを踏まえれば、査察は全く無意味ではなく、イラクの武装解除促進や武器開発プログラムの遅延には一定の効果があったと評価される一方で、査察を巡る政治的圧力や交渉によって逆に状況が悪化したとの意見も存在します。結果的に、UNSCOMはその使命を果たせずに活動を終えることとなりました。

終わりに

UNSCOMの活動は、国際社会が武器拡散を防ぐためにどのように機能するのかを示す一例であり、今後の国際的な査察プロセスにおける教訓を残しました。イラクにおける大量破壊兵器の問題は、その後も国際的な関心を引き続き呼び起こしています。

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